2010 Fiscal Year Annual Research Report
食の地域ブランドづくりが地域ブランド創生に果たす役割
Project/Area Number |
22615026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
都甲 康至 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (90437765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 良一 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (20253544)
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Keywords | 地域ブランド / 経済政策 / 農林水産物 / 食品 / デザイン / 地域活性化 / プロジェクトマネジメント / 地方自治体 |
Research Abstract |
平成22年度の研究は、まず文献調査から食の地域ブランドについて定義を行い、それが農産物、水産物、食品、料理から構成されていることを示した。次に当該地域の食の地域ブランド資源を調査するための項目として、農産ブランド資源(米・穀類、野菜、果樹、花卉、畜産等の生鮮農産物と農産加工品)と水産ブランド資源(生鮮水産物と水産加工品)、食品ブランド資源(酒類・飲料、調味料、加工食品、麺・パン類、菓子・スィーツ)、料理ブランド資源(伝統料理と郷土料理)を用いることが有効であることを考察した。 次に、アーカー(1991)等の企業ブランド研究の文献調査から、生活者の記憶の中に形成されるブランド知識形成プロセスについて考察し、ブランド・エクイティ論と購買心理学の基礎となっている「EBM理論」との統合を試みた「地域ブランド知識形成モデル」(仮説)を地域ブランド創生モデルとして導出した。このモデルは、パワーブランドを形成するためには地場産品が持つ地域性と地域イメージをブランド認知要素や知覚品質要素に効果的に転換し、それらが消費者に情報として伝わり経験されなければ、消費者の中に良好なブランド知識が形成されず評価されないことを示唆した。 最後に、食の地域ブランドの実態を把握するために研究対象地域としての福津市の地域ブランド「福津の極み」から10の食の地域ブランドを選定し、その認定事業者等に対してインタビュー調査を行った。その結果、食の地域ブランド・デザインを行う上でブランド認知要素に関する課題として認知度の向上、パッケージ・デザイン、情報発信、販売促進、販路拡大、公的支援のあり方等があり、知覚品質要素に関する課題として認定要件と審査方法の見直しがあることが分かった。 これらの研究成果は、今後地域ブランドに係る地域団体や生産者等が、食の地域ブランド創生や見直しを図る際に参考となる重要な知見になると考える。
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