Research Abstract |
本研究は,視覚障碍者が外界の様子を直感的に把握する装置を研究するものである.我々は,空間情報を指の動きに働きかけて外部の様子を非接触で直感的に利用者に伝達する装置Future Body Finger(以下FB.F)を開発した,平成23年度は特に以下の3つの観点から研究開発をおこない,学会などで発表を行った. 1)FB.Fの改良と性能の評価:FB.Fの駆体の小型化,右指用・左指用の試作,赤外線センサや照度センサの接続などのUIの改良を行った.更に距離認識性能に関して,FB.F,みるぶる(市販品),CyARMの3機種を比較し,FB.Fの距離感認識性能が有意に高いことが明らかになった.成果は,ヒューマンインタフェース学会で発表した.また,全盲者でも同様の追加実験を行い,同様にFB.Fの認識性能が有意に高いことが明らかになり成果を国際会議に投稿中. 2)展覧会と盲学校授業:当事者の評価を得る為に実験的な展覧会を行った.FB.Fは,視覚を使わずに「触るように見る」道具である,触って楽しそうな展示物を制作して,FB.Fで鑑賞してもちった.展示物は,凹凸したもの,揺れる物体,炎,魚の標本,迷路等である.研究の目的は,「使いやすいものをデザインする」だけでなく,「使いやすいものをデザインして,楽しむコト」である.目の不自由な方に新しい鑑賞方法を体験してもらい,「触るように見る」コトに対する率直な意見をもった.函館市で開催した展覧会は150名の参加が有り,有益なコメントを得る事が出来た(「未来の身体展」).更に,科学技術振興機構地域の科学舎推進事業の支援をうけ,盲学校の理科の授業にFB.Fを使用し評価した(科学へジャンプ・イン・北海道2011). 3)感覚拡張装置の新しいコンセプト:これまでの成果を生かし,人の知覚特性を生かした新しい感覚装置のコンセプト検討を開始した,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究チームが開発した先行方式(CyARM)を改良したFB.Fは,距離感認識性能としては市販製品より性能が高い事が分かった.また,盲学校や国立視力障害センターなど当事者の支援を受ける環境が整い,企業参加の環境も準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは,視覚障碍者の外界理解を支援するユーザインタフェースを研究してきた.人,装置,外界の関係を人の知覚特性を基準に研究を行い,いくつかの貴重な知見を得る事ができた,今後は,この知見を生かし他の知覚体験ユーザインタフェースの研究に発展させていきたい.
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