2011 Fiscal Year Annual Research Report
土による環境造形とサスティナブル・デザインの可能性
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22615040
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
井上 明彦 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (30232523)
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Keywords | 土の循環と再生 / 自然素材 / 環境造形 / アフリカ建築 / 伝統技術 / サスティナブル・デザイン / 空間表現 / 造形素材 |
Research Abstract |
1)土による環境造形の実験モデルとしての「つちのいえ」の制作研究 本研究代表者の勤務する京都市立芸術大学キャンパス内にて制作を行っている実験モデル「つちのいえ」の施工を継続。具体的には、2010年度の「アクアカフェ」(「生存のエシックス」展出品作、京都国立近代美術館主催)の土素材の再利用による壁体構築、地域の自然環境1から直接採集した茅による屋根葺きを行った。購入行為を介さない素材の調達と循環的再利用、ベテラン茅葺職人との交流は、芸術教育の面にも従来にない知見と価値観を導入した。また本「つちのいえ」において美術展と演奏会、お茶会を初めて開催し、異領域をつなぐクリエイティブなプラットフォームとしての可能性を検証した。 2)ブルキナファソにおける土着建築の現地調査 2011年8月末から半月、ブルキナファソ(西アフリカ)のボボディウラソ、ガワ、オビレ、ロロペニ、ティエベレ、ティアカネ、バルクイ等の諸村において、民家を主とした土着建築の材料と工法、空間構成、装飾の調査と資料収集を行った。在ブルキナ大使館にて現地専門家との交流も行った。 3)2010年度に制作した「アクアカフェ」の記録集の刊行 土の再生・循環のプロセスの提示として行った2010年度の「アクアカフェ」プロジェクトの報告書(24ページ、フルカラー、図版多数、250部)を制作・刊行した(2012年3月31日)。 4)土による絵具づくりと絵画制作 建材として以外に土の造形的可能性を検証する作業に着手。ブルキナファソで入手した土を顔料化し、オリジナルな絵具づくりとそれによるドローイング作品を制作、個展で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
美術と工芸・建築・左官や茅葺などの伝統技術・大工技術・美術教育・建築人類学など創造性に関わる異分野の交流、自然素材の循環と再生を軸にした新しい価値観と芸術観の探求、実験的制作と展覧会を軸にした実践的研究、西アフリカでの現地調査による異素材と技術の研究といった当初の目的を達成し、さらに中間報告書としての『アクアカフェ-孔・過程・物質』の刊行、土絵具の制作とそれによる絵画制作と展覧会開催など、研究目的を超えた新しい成果を生んでいる。しかし、当初予定に入れていたマリのドゴン族の建築調査がブルキナファソでのそれに変更になり、また造成地の風景をアーカイブ化する「動く土リサーチプロジェクト」が停滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)本研究の出発点のひとつであったマリ共和国のドゴン族の土着建築の現地調査が、2012年3月の同国のクーデタと政情不安によって困難になったので、フィールドワークの対象地域を同様に多様な土による建築造形が見られるブルキナファソに変更し、2012年度に第2回調査を行う。 2)土の顔料化による絵具の制作と絵画制作を引き続き行うとともに、泥染など、染色領域における土素材の可能性をさぐり、展示活動を行う。 3)土を主軸として絵画・建築・陶芸・染織の異分野が交流しあう実験的な展覧会ないしシンポジウムの企画を進めたい。(アフリカ現地調査後の予算残額による)
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Research Products
(4 results)