2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知力低下に配慮した継続使用が可能な家電製品のデザイン方法に関する研究
Project/Area Number |
22615047
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
相良 二朗 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (10330490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種村 留美 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00324690)
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Keywords | 認知科学 / ユーザーインタフェース / 痴呆 / 老化 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、認知症あるいは認知症の傾向がみられる独居高齢者および日中独居高齢者を対象に、訪問調査を行い、生活家電製品の使用実態調査を行った。累積訪問調査件数は95例となった。また、これらの調査結果をFileMakerに入力し、データベース化に着手した。 対象者の性別が女性に偏る傾向が強いため、近隣の老人会役員を頼って調査協力者を募り、男性の件数を増やすことに努めた。『しかし、活動性の高い事例が多く、困難事例よりも対照事例となった。 困難事例からは、服薬忘れや、地デジ化に伴うテレビリモコン操作の煩雑化が訴えられたが、一方では地上デジタル放送よりも衛星放送の番組を好む傾向も見られ、視聴に対する積極性によって分かれるようである。服薬忘れについては、タイマー式のピルケースがいくつか市販されているが、今日が何日であるのか、今が何時であるのかの見当識が影響すると思われ、見当識障害を支援する時計やカレンダーの重要性も見いだされた。 促し装置については、トイレの洗浄忘れ防止装置の試用において、家族の声だと叱られているような気分になるとのことで、本人の声を使用したが、「自分の声は聴きたくない」という意見が聞かれた。音声による事象のわかりやすさはあるが、メロディなどによる促しを検討する必要がある。 また、これまでの促し装置はルネサステクノロジー社製のR8マイクロコンピュータを使用したが、プログラム開発とハードウェア開発の簡素化のためにAruduinoの採用を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)東日本大震災の発生に伴う、震災関連業務への発生が生じたこと。(2)研究費の配分が当初30%削減され、残金の配分決定が後期となったこと。以上の影響から、若干の遅延が生じた。しかし、在宅単身高齢者への訪問調査は予定以上に件数を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は最終年度にあたるため、これまでの調査結果の分析を進め、家電製品のインタフェースのあり方を導く。また、調査において明らかとなった軽度認知症者とその家族等が抱えている課題に対して、支援技術としての対応の可能性について検討を加える。 スウェーデンのカロリンスカ研究所との間で情報交換を行い、生活様式や文化の違いからの検討も加える。
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Research Products
(5 results)