2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞支持基盤の弾性調節で飽和脂肪酸によるインスリン抵抗性を克服する試み
Project/Area Number |
22616005
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
李 勤凱 徳島大学, 病院, 学術研究員 (10571531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船木 真理 徳島大学, 病院, 特任教授 (10467821)
秦 明子 徳島大学, 病院, 学術研究員 (20570948)
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Keywords | 細胞外基質問 / 弾性 / 脂肪細胞 / 慢性炎症 |
Research Abstract |
これまでの研究で3T3-L1脂肪細胞が細胞外基質の弾性を認識し、インスリン刺激に対する応答が変化することを明らかにしている。そこで全身の糖代謝調節の上で重要な役割を果たす脂肪細胞の内分泌機能が、細胞外基質の弾性によりどのような影響を受けるかについて研究した。細胞外基質の弾性低下と共に3T3-L1脂肪細胞でNFκBが活性化し、アディポネクチン分泌低下とMCP-1分泌増加が見られた。脂肪細胞慢性炎症に合致するこれらの変化は、パルミチン酸負荷でさらに増強した。一方、正常な脂肪組織の弾性を模したゲル上では、パルミチン酸負荷にもかかわらず脂肪細胞に炎症性の変化は見られなかった。肥満・糖尿病状態の脂肪組織で細胞外基質の一つであるコラーゲン沈着が報告されており、脂肪組織の弾性低下を引き起こしうると考えられた。実際、肥満・糖尿病モデル動物では対象群に比較し、脂肪組織の弾性低下が観察された。これらのことから肥満・糖尿病状態に見られる脂肪細胞慢性炎症の発生起序として、細胞外基質の弾性低下の関与を初めて示した。
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