2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクCADとナノテク計算の結晶格子アルゴリズム解析による統合研究
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22650002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 浩 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (80183010)
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Keywords | 量子もつれ / 量子情報組合せ論 / ナノテクノロジー / 計算幾何 / 離散構造 |
Research Abstract |
研究初年度である本年度においては、正方格子上での隣接原子交換操作による所望の原子配置実現の研究を精査して、そのアルゴリズムの対象となる結晶格子をより多様なものへと発展させることを目指した。多様な結晶格子をグラフ理論で扱うため、(1)結晶格子を高次元整数格子に埋め込むことによってアルゴリズム的に統一的に扱う研究、(2)結晶格子の代表的構造である平面タイリングの有する規則性を周期的グラフとして記述することにより適用範囲を広げ、その汎用性から効率減少が生じる範囲でおさえるアルゴリズムの研究を並行して進めた。 具体的には、タイリングを統一的に周期グラフとして表現し、その周期グラフ上で定義されるパラメトリック整数計画問題を解くことにより、元々の格子の2点間距離をパラメタで表現することを、グレブナー基底という計算代数手法を用いて示した。これにより計算代数に関わる興味深い問題を抽出することもできた。上記(1)の高次元整数格子への埋め込みについては、タイリングの埋め込み可能性に関する既存研究をもとに上記の2点間距離をパラメタ表現する他の方法を検討し、隣接原子交換によってこれらのタイリングの中に所望の原子配置を実現する際に軸分解を用いて正方格子同様に動作計画立案できる場合について調べた。これらの成果については、初年度の研究でほぼ論文執筆まで進めることができ、2年次に投稿を予定している。また、ナノテクに関連した量子情報について双曲幾何を用いて解析する方法について計算幾何の観点から検討する研究も進め、論文を発表した。他にも、上記タイリングに代表される結晶構造を量子計算で活用することについての検討を進め、グラフ理論的にも量子計算の面でも研究進展が望めることが判明した。この成果について学会発表も行った。グラフ理論に関する部分については量子パーフェクトグラフ理論の構築といえる体系的な研究へと発展させることを目指しており、こちらも2年次に論文発表を予定している。
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Research Products
(6 results)