2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクCADとナノテク計算の結晶格子アルゴリズム解析による統合研究
Project/Area Number |
22650002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 浩 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (80183010)
|
Keywords | 量子もつれ / 量子情報組合せ論 / ナノテクノロジー / 計算幾何 / 離散構造 / 周期グラフ / 結晶構造 / Voronoi図 |
Research Abstract |
本研究課題では、近年のナノテクノロジー技術の発展により可能となってきた原子操作や新しい計算モデルについて、結晶格子や整数格子の格子構造のアルゴリズム解析を軸として、情報処理とデバイス技術を融合させた萌芽的分野での研究を展開した。 本年度においては、結晶格子の数理モデルとして2次元周期グラフに着目して研究を遂行した。コンピュータ科学におけるVLSI・スケジューリングや化学の分野における既存の周期グラフの研究について、ナノテクCADの原子交換操作による所望の原子配置実現の問題の観点から、グラフ理論と計算幾何の方法論を用いて解析を進めた。周期グラフがL1埋込み可能である場合、周期グラフ上での近接関係が効率よく扱えることを示し、これをVoronoi図に関する国際会議で発表したところ、この成果は高く評価され、選定された論文特集号への投稿を推薦されることとなった。また、原子配置実現のため、L1埋込み可能な周期グラフの中に、さらに動作計画を実現するための干渉のない軸への分解理論を構築して、効率的動作計画が可能な周期グラフをすべて調べあげた。この成果については、2012年度に開催されるVoronoi図に関する国際会議に投稿中である。また、日韓ワークショップにおいて、結晶格子モデルの周期グラフをコンパクトに表現する方法を示して、その表現のデータベース作成にも取り組んだ。このように原子配置実現問題を軸に、ナノテクCADという萌芽的方法論をコンピュータ科学のアプローチにより広く展開した。 量子情報処理の観点からは、量子情報理論と密接な関係がある双曲空間での近接関係を解明した論文を計算科学に関するジャーナルに論文掲載するという成果をあげた。量子情報はセキュリティ理論と表裏一体のものであり、この論文は現代暗号における楕円曲線暗号の算術実装効率化への展開も図ったものである。
|