Research Abstract |
本研究は,水路を流れるように非自律的に移動する無線センサネットワークにおける効率的かつロバストなデータ回収のためのスケジューリング方式と通信経路制御手法の開発を行うものである.下水路の状態の代表的な観察方法は,管路にカメラを設置して移動させながら,管内全体を撮影する方法であるが,管内のカメラ設置・移動に伴う多大な人的コストがかかる.そこで,下水路の観察を,水路に流された小型無線センサノード群を使って行うことを目指す.各センサノードは水位,温度等のセンシング情報を収集する.さらに,各センサに基地局と通信し,自身の位置を報告させ,それらの位置,数,時刻を調べることで,水流の分岐の割合,流速の調査,管路の故障点の位置の検出などが短期間,少ない人的コストで可能となる.管内にアンテナを設置しない限り,下水路内のセンサが地上のデータ収集点ヘデータを送る機会は,アンテナを比較的容易に設置できるマンホール直下通過時に限られる.また,センサがその現在位置を知るヒントとなる情報もこのマンホール直下での通信でのみ得られる.そこで,センサノードが少量の電池容量で稼働し,下水路の終端までセンシング可能とするため,通信可能機会を推測して起動・休眠を行うようなスケジュール手法とその環境でデータを回収するための通信経路制御技術を開発する.今年度は,起動・休眠のためのスケジュール方法設計に関する基礎的な検討を行い,集中制御モデル,立候補方式の2種類のスケジュール方式の基礎設計を行ったほか,そのシミュレーションモデルの設計・実装を行った.さらに,移動ノードからのデータ回収のための経路制御プロトコルを設計し,シミュレーションによりその効果を確かめた.加えてシミュレーション評価高速化のためにネットワークシミュレータJiST/SWANSにGPGPUを用いる拡張を施した.
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