2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22650150
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
彼末 一之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50127213)
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Keywords | 野球 / 回転 / 手 / 指 |
Research Abstract |
野球の投手が投ずるボールの回転は投球のパフォーマンスに大きく影響するが,測定の難しさから解析はほとんど進んでいない.最近申請者はボールの回転数,回転軸方向を算出する測定系を開発し,その有効性を確認した.一方,ボールの回転はボールリリース直前の手,指の動きによって決まると考えられる.特に指の動きは重要だが,指の動きは素早く,通常のビデオ映像では細かい動きはとらえられない.そこで,申請者は高速ビデオを3台用いて手,指の動きをミリメートル単位,ミリ秒単位の精度で測定するシステムを開発中である.本研究ではこのシステムを完成させるとともに,1)手,指の動きがどのようにボールの回転速度,回転軸に影響するか?,2)ボールの"キレ","ノビ","重い・軽い"といった表現は実際にはどのような物理的性質を表すか?,の2つの問題を検討する.プロ野球、大学野球の投手15人が直球を投げるときのボールの回転、回転軸方向、スピード、指・手の動きを測定した。その結果、直球のスピードとボールの回転数には相関が認められた。しかし、同じスピードでも回転数には個人差がある。さらに回転軸の方向が個人で大きく異なる結果が得られた。"キレ"がよいといわれている投手では1)スピードが速いばかりでなく、2)回転数が高い、さらに3)地面に平行、またボールの進行方向に垂直に近い回転軸の向きを有していた。これらはいずれもボールを上向きに動かす力を生ずる。また回転数の高いピッチャーほど、バックスピンの回転を与える時間が長かった。
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