2011 Fiscal Year Annual Research Report
夜間大規模停電下において有効な蓄光避難誘導システムの提案
Project/Area Number |
22650171
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
酒井 英樹 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (90277830)
|
Keywords | 建築構造・材料 / 建築環境・設備 / 防災 / 省エネルギー / 蓄光 |
Research Abstract |
本研究は,蓄光材の発光輝度を高める手法を開発するとともに,その発光輝度に応じた最適な標識サイズ・設置間隔を導き出すことで,電力を必要としない,夜間大規模停電時において有効な避難誘導システムの構築を目指すものである。研究初年度の昨年は,主な励起源が蛍光灯などの人工光源である屋内環境における発光輝度増強方法について検討を行った。本年度は,主な励起源が太陽光である屋外環境を想定した輝度増強方法について検討を行った。しかし,励起源として太陽光のみを想定した場合,日射に含まれる紫外線量は,可視成分と異なり天候には左右されにくく,また,人工光源にくらべ高強度であり日中十分に励起されるものの,すぐに飽和状態となり,さらに,蓄光材はその性質上励起されなくなるとその発光(りん光)輝度は,指数関数的に急激に減少していくため,日没直後を除き,高輝度状態を保つことはできなかった。よって,励起源として,視認性確保のためにすでに設置されている夜間照明からの漏れ光を併用することで,弱いながらも常に励起状態を保つ方が夜間停電時の発光輝度を確保することができた。ただし,夜間照明に使われる光源は,屋内照明以上に発光効率が重視されることが多く,高圧ナトリウム灯など紫外線をほぼ含まず蓄光材の励起源として機能しないものがあった。よって,屋外での蓄光に基づく避難誘導システムでは,屋内以上に,蓄光材単独ではなく,励起源としての照明設備も含めて全体をシステムとして設計する必要性が高いことが明らかとなった。
|