2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規な低エネルギー・低環境負荷型結晶性シリコン薄膜の形成および太陽電池への展開
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22651029
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
本田 数博 神奈川工科大学, 工学部, 准教授 (40257415)
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Keywords | 結晶性Si / オクタン酸塩 / 「Si(OH)4」脱水重合体 / ラマン分光 / 結晶性Si薄膜 |
Research Abstract |
「Si(OH)_4の脱水重合体とオクタン酸塩とが互いに織り込まれるようにして固化した固形物」の大気雰囲気下における加熱処理による結晶性シリコンの形成機構について、150℃から500℃の加熱温度による逐次および加熱温度を固定した"その場"観察可能な顕微ラマン分光装置の改良を行った。 熱重量分析、XRD測定およびラマン分光による「Si(OH)_4の脱水重合体とオクタン酸塩とが互いに織り込まれるようにして固化した固形物」中のオクタン酸ナトリウムの分解速度と生成する結晶性Siには相関関係をより詳細に確認し、XRD測定により同定した結晶性Siについてラマン分光によってもSiが形成することを確認した。ただし、XRD測定では確認できなかった非晶質SiO_2形成についての知見を得た。昨年度に確認した加熱速度の違い、すなわちオクタン酸塩(脂肪酸)の酸素雰囲気下における分解速度が結晶性Si形成には重要な因子であると同時に、結晶性Si形成後は結晶表面に酸化膜を形成することをラマン測定から併せて確認した。様々な検討から酸化膜はより低温における加熱形成、あるいは結晶性Si形成後のアルカリ水溶液処理により除去可能であることを確認した。 ITO導電性ガラス基板上における結晶性Siの形成について検討を開始し、ガラス基板上に結晶性Siが形成可能であることを確認した。ただし、加熱温度はガラス基板の温度特性に強く依存し、比較的低温での加熱に制約されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請研究により測定可能となったラマン分光測定により、より詳細な測定データを得られることになった。特に、予期していなかった、本研究の特徴である大気中における結晶性Si形成における重要な役割を演じる酸素が結晶性Si形成後の表面に酸化膜を形成する場合があることが明らかとなった。酸化膜を形成しない最適条件および処理方法の検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化膜形成を抑制する上でオレイン酸などより炭素数の多い不飽和脂肪酸を用いて結晶性Si形成について検討を行う。ITO導電性ガラス基板への結晶性Si薄膜の直接形成について膜厚、電気特性などについて検討し、薄膜太陽電池への利用に向けた評価を行う。 平成23年度の研究成果はH24年度6月13日に開催の第1回JACI/GSCシンポジウム(第12回GSCシンポジウム)において発表することが許可されており、そこでの議論を踏まえて、更なるな深化を図っていく。
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