2010 Fiscal Year Annual Research Report
高度にキラル制御された乳酸ポリマー創製を目指した生体触媒開発
Project/Area Number |
22651032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 精一 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70216828)
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Keywords | 生分解性プラスチック / ポリヒドロキシアルカン酸 / 重合酵素 / キラルモノマー / 基質特異性 / 乳酸ポリマー / 進化分子工学 / ポリマー物性 |
Research Abstract |
バイオマスを高度利用して生産できる環境調和型バイオプラスチックの生合成酵素の進化工学的改変を実施することで、バイオポリエステルの生産性・物性を積極的に改善する研究を展開している。今年度は、乳酸モノマーベースとした共重合体を合成できるPseudomnas sp.61-3重合酵素(PhaC_<ps>)を対象に、特に共重合組成(乳酸ユニットとそれ以外のモノマーユニットとのモル比)と分子量の精密制御可能なPHAの合成進化酵素を多数創出し、それら構造機能相関解析から優良変異効果の総括的考察および、乳酸モノマーの光学異性体(キラル)認識への関与の解析に移行した。 ターゲット酵素PhaC_<ps>は、乳酸ベースのPHA共重合体を合成できるが、コポリマー中の乳酸基質取り込み能力が6%と微弱であった。そこで、人工進化システムから得られた複数の優良変異部位4箇所(130,325,477,481)のうち、130番目と325番目は酵素活性そのもののに関与し、477番目と481番目は基質特異性に関与することが明らかとなった。この知見に基づき、組換え大腸菌(β酸化系変異株を使用し、C4からC12までのモノマー基質を供給できる酵素遺伝子(phaA_<Re>B_<Re>J_<Pa>)を補強した状態)によって生成されるポリマーの解析から、優良変異の組み合わせから共重合体中の3HB分率が広域幅(数%から70数%)で制御できる進化酵素群を取り揃えることができた。本結果は、側鎖のサイズを系統的に変えたCoA体脂肪酸モノマーを化学合成し、インビトロでの活性試験をした結果とよく符合し、生成ポリマーのインビボ解析結果とよい相関を示すことがわかった。これら進化酵素の基質特異性に着眼した機能マッピング解析データは、乳酸モノマーユニットのD体とL体認識に関与する変異の類型化のライブラリー基盤となる。
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