2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチック地雷可視化システムのための低相互結合アレイアンテナの実現への挑戦
Project/Area Number |
22651062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70199115)
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Keywords | アンテナ / テーパ・スロット・アンテナ / ミリ波 / マイクロ波 / 超広帯域(UWB) / イメージング / アレイ・アンテナ / セキュリティ |
Research Abstract |
周波数ステップ型地中レーダシステムは、プラスチック対人地雷の人道的除去のためにその実用化が強く望まれている。土塊等によるクラッタ(散乱雑音)が大きい地中レーダでは、地雷を他の金属片や石から区別するために、広いダイナミックレンジが不可欠である。周波数ステップ型レーダにアレイアンテナを利用すると、高速なデータ取得と広いダイナミックレンジを、高い水準で両立できる。 本研究の目的は、超広ダイナミックレンジ実現のため、相互直接結合の極めて少ない高密度・広帯域アレイアンテナを開発することである。従来、アレイアンテナは相互結合の影響が小さくなる程度に、要素アンテナ間に適切な間隔を挟んで構成することが常識であった。しかし地雷用レーダでは、高密度のアレイ化が不可欠である。本研究は、高密度アンテナアレイを実現しようとする挑戦的萌芽研究である。 具体的には、次の項目について2年間にわたって研究を行うものである。 (1)シミュレーションによる直接結合を最小化する構造の網羅的探索 (2)直接結合最小化構造のアレイアンテナの作製 本年度は特に、(1)を中心に研究を進め、目的をほぼ達成することができた。われわれが従来提案し試作しているWalled LTSAを利用した地雷可視化システムのフィールド実験用1号機では、最下段にWalled LTSAアレイを配置している。これまで使用しているWalled LTSAの壁は、導波管に似た平坦で方形の金属壁である。このままでも電磁波フィールドの整形機能があり、壁が無い場合に比べてアンテナ密度をある程度上げることができている。 本研究では、この壁構造の形状等を変える事により、送信アンテナTxから受信アンテナRxへの直接結合の最小化を図ろうとしている。具体的には、(a)開口端の方形終端形状を自由な曲線とする場合と、(b)金属壁に溝をつける場合とに関して、数値計算による解析を試みた。またこれらの組み合わせの解析を行った。電磁界シミュレータによって最適構造を探索した。その結果、トレンチを採用し、またそれを滑らかに開口に接続することにより、直接結合が7~12GHzの広帯域にわたって5dB程度減少できることを提案し、その基本特性を得た。そのときの電磁界分布を検討し、本手法が適切なスケーリングによって広範な周波数帯域でのアンテナ設計に適用可能であることも明らかにした。
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Research Products
(35 results)