2011 Fiscal Year Annual Research Report
同時代の西洋国際法批判としてのカント最晩年の政治哲学
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22652002
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
平子 友長 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50126364)
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Keywords | カント / 国際法 / 国民・ネイション / 国家・ステイト / 先占 / ナショナリズム / 無主の地 / 永遠平和 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年度10月から12月ベルリン国立図書館、フンボルト大学図書館を中心に収集した以下の資料、(1)18世紀後半の国際法と植民地を巡る諸論争に関する文献、(2)1780年代~1790年代ドイツにおける平和と市民社会を巡る諸論争に関する文献の整理とそれらの読解が主な作業であった。 西洋諸国による非西洋諸地域の植民地化に果たした国際法の役割とそれをいち早く批判したカント最晩年の政治哲学を日本において研究する際には、東アジアの近代化において帝国の道を進んだ日本と、多かれ少なかれ被植民地化の歴史を経験した中国、韓国・朝鮮、台湾との関係、東アジア諸地域における経験の相違に関係する西洋国際法に対する異なる受容のありかたを視野に入れる必要がある。 研究代表者は、平成23年5月21日、22日に江原大学校(春川市、韓国)で開催された国際シンポジウム「東アジアにおける西洋哲学受容の問題」に招聘された際に、韓国の複数の研究者と会見し、前述の問題について意見交換を行い、東アジアを視野に入れた研究の進め方について貴重な示唆を得た。カント最晩年の政治哲学を東アジアで研究することの意味を深めることができた。 比較教育学および啓蒙思想の専門家であるユルゲン・シュリーバー教授(フンボルト大学教育学研究所)が平成24年3月一橋大学外国人教員招聘プログラムによって招聘された際に、3月26日「独仏啓蒙思想の教育構想」、27日「カントおよびシラーの啓蒙概念」に関する国際交流セミナーを開催した。セミナーにおいて研究代表者の研究課題に関係する諸テーマについても意見交換を行なうことができた。同時に近年のEU圏における研究動向についても貴重な情報を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年10月30日に行われた社会思想史学会において幹事会企画セッション「マルクスを再考する」の企画責任者を務め、かつ「マルクスのマウラー研究の射程-MEGA IV/18におけるマルクスのマウラー抜粋の考察」についての報告を準備し、そしてそのかたわらこれとの関連においてカントの政治思想を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、研究期間の最終年度であるため基本的に、研究成果報告書の作成に専念する。平成23年度の西洋政治哲学の研究をカント政治哲学の研究に生かすように、平成24年度の研究を続ける。
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Research Products
(2 results)