2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22652038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 恒昭 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60334299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 たかね 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10168354)
林 良彦 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80379156)
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Keywords | 語彙概念構造 / 語彙的オントロジー / 語彙意味論 / 複合動詞 |
Research Abstract |
精緻ではあるが,理論的,規模的にカバー率が高いとは言い難い語彙概念構造理論を,以下の3点を通じて言語処理的な言語知識と融合し,実用規模の言語処理に耐え,意味解釈の基礎までを提供する語彙概念構造体系へと展開し,それを通じてより高度な言語処理のための資源構築の基礎を確立する事を目的として研究を進めている. (1)語彙概念構造と,大規模語義関係記述(語彙的オントロジー)での意味関係との関係づけと形式化 (2)動詞の複合と派生に関する語彙概念構造構成方式と項構造(下位範疇)変化規則の形式化 (3)上記実施の過程で必要となる語彙概念構造理論の枠組みの拡張 今期は,(1)(2)の基礎となる動詞関係データ(複合動詞とその構成要素である動詞,自動詞と他動詞,動詞とその可能動詞,動詞とその使役動詞等の関係を抽出したもの)の整理を行った.データモデルを整え,webベースの対話的検索やプログラム内での利用を可能とした.これを使って,既存言語資源(計算機可読辞書)の分析を行い,登録されている動詞のズレや動詞間の関係のズレを明らかにした. また(2)のために,計算機可読辞書の語釈文を用いて,複合動詞とその構成要素であるふたつの動詞との意味的関係を分析することを進めている.まず,語釈文を上記動詞関係デーを用いて解析することで,約半数の複合動詞の語義がその構成要素の語義と関連することを明らかにした.加えて,人手による分析を行い,構成要素の語義がどのような関係で結び付けられて,複合動詞の語義を生成しているかの分析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複合動詞の意味の分析に手間どっている.何らかの客観的な基準が重要と判断し,計算機可読辞書の語釈文に着目したが,やはり人手による記述であることから,一貫性(記述の統一性)に問題が残る.まずは人手による分析を通じて,その問題を明確にし,それを補う方法論を検討したい.
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Strategy for Future Research Activity |
より大規模なデータを利用可能とするために,複合動詞の自動抽出の手法の検討を進める.既に開発した手法は精度が充分でないため,アルゴリズムの精緻化を図る.これによって抽出されたデータの分析を通じて,計算機可読辞書が持つ情報を補完することを考えていく.
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