2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊野 直樹 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50264007)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 阿片 / モルヒネ / 「満」独関係 / 満州大豆 / ヴォールタート / 古海忠之 / 通商協定 / ドイツ経済使節団 |
Research Abstract |
本研究は、第二次世界大戦期の「満」独阿片貿易の実態解明が主たる目的であった。とりわけどのような経緯を経て、「満洲国」とナチス・ドイツ間の主要な交易品が満州大豆から阿片に代わったのか、その際、誰が主導し、いかなるアクターが関与したのかを明らかにするのが本研究目的であった。 研究の結果、以上の課題の多くが解明できた。「満」独通商協定によって、両国は主に満洲大豆とドイツ製機械をバーター取引していたが、満洲大豆の不足によって「満洲国」側は貿易赤字に陥った。その結果、ドイツ側はその決済の手段として、満州大豆に代わって阿片を要求するに至った。1941年5月の「満」独通商協定延長に関する第二次協定において正式に両国の間で、阿片取引がなされることになった。その責任者が「満洲国」側は古海忠之であり、ドイツ側がドイツ経済使節団代表のW・ヴォールタートであった。戦時中、両者が両国間の阿片貿易の責任者であった。 ドイツへの阿片の輸出は、「満」独通商協定の改定のたびに、10トン、21トン、40トンと増加していった。ドイツ側が輸入した満洲の阿片は、主に蒙疆(内モンゴル)産であった。ドイツは、「満洲国」から阿片を封鎖突破船によって、戦争末期には潜水艦によって輸入していた。そのルートは、奉天・大連・横浜/神戸・昭南/ペナン・ロリアン(フランス)であった。ドイツは、輸入した阿片の一部を東南アジアにおいて戦争に不可欠な原材料とバーター取引していたと考えられる。さらにドイツは、阿片をモルヒネとして使用していたが、医薬品として戦争には不可欠であった。しかもドイツは、モルヒネを安楽死やホロコーストにも使用していたが、「満洲国」から輸入した阿片が実際にドイツでいかに利用されたかは、今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)