2011 Fiscal Year Annual Research Report
福祉農場構築のための知的障害者の農業活動の実態調査と作業要領・指導方法の開発
Project/Area Number |
22653063
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大場 伸也 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80221836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 啓子 中部学院大学短期大学部, 専攻科, 准教授 (70369528)
山岡 由美 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (30410442)
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Keywords | 農業 / 福祉 / 教育農場 / 農業高校 / 大学附属農場 / 就労支援 / 知的障がい者 |
Research Abstract |
近年、障がい者が農業分野で活躍する姿が注目されており、これは障がい者の就労の機会や就労訓練の場として、また障がい者が農業の新しい担い手として期待されているためである。そこで本研究では、農業と福祉の連携に関わる取り組みを調査し、障がい者が農業分野で活躍する可能性と障がい者を農業分野で働くための支援の方策を検討するものである。 まず、ドイツの障がい者福祉施設に所属する福祉農場を視察し、先進国農業における農業と福祉の一端を見ることができた。視察した施設では、180頭の乳牛、100頭の豚などを飼養し、また10haのジャガイモを栽培し、約5名の職員と60人の障がい者が働いていた。職員の中心は、福祉を学んだ農業技術者で、生産技術を重視した経営を行っていた。またタイ国では、全国に17校ある特別支援学校のうち、1校のみが就労支援に重きをおいた教育を行っており、就労を見据えた特別支援教育としては発展途上にあることが分かった。一方、我が国の施設では、農業に取り組む障がい者関連施設などがあり、農業以外に主とした産業の無い地域では、生産活動として農業が期待されていることが分かった。また宮崎県立みやざき中央支援学校では、約1haの広い農場を有し、特別支援学校に属する農業教員が農業に関わる実習教育を担っている事例があった。 障がい者が農作業などの仕事を行う上で、作業の指導や到達度の把握を行うには、工場でのライン生産のように一定の生産物をカウントするなどによって評価するのと異なり、困難な場合が多い。そこで、重力加速度計を用い、作業内容の数量的評価ができないかを検討した。その結果、重力加速度計を身体の各部に装着し、作業を行うと、行動を記録することができ、作業の特徴を抽出することができた。これは、障がい者の作業の習熟度を客観的に評価するのに有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に推移し、研究成果を得ることができた。国内外における農業と福祉の連携に関して、予備的な調査を行い、ヨーロッパなどの先進国での農業においても、その連携の重要性が認識されていることが分かった。重力加速度計を用いて作業評価できる可能性が得られたことは、これまで作業内容が複雑で、客観的な評価の行い難かった農作業を数量的に把握することができ、障がい者の指導に役立てることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施してきた国内調査を基に、さらに先進ヨーロッパ諸国での福祉農業の取り組みを調査することで、海外での先進事例や各国の農業や福祉政策との関係を明らかにし、今後の我が国の取り組みのさらなる参考知見を収集する。また、アジアの途上国諸国では、農業が重要な基幹産業でありながら、障がい者との連携はなされていないため、今後のアジア諸国での農福連携の可能性につても究明する必要がある。
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Research Products
(5 results)