2012 Fiscal Year Annual Research Report
対称性推論は言語学習のタマゴかニワトリか:ヒト乳児とチンパンジーの直接比較
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22653093
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60255601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 浩之 玉川大学, 工学部, 教授 (10349326)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 非論理推論 / 比較心理学 / 対称性 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに開発したヒト乳児(生後8カ月)とチンパンジーを直接比較するための実験課題を用いて、両種での実験データの収集を進めてきた。実験は順方向条件と対称性条件の2条件があり、両種ともその全データを取り終えた。順方向条件は、そもそも被験体(児)が一方向の対象間の関係(例:A→B)を学習できるかを確かめるために行った。この条件では、「モノ」と「動き」を刺激にして、「動きA1→モノB1」または「動きA2→モノB2」をくり返し提示し、これを被験体(児)に学習させた。テスト試行では学習した通りの既知の組み合わせ、もしくは「動きA1→モノB2」のような新奇の違反した組み合わせを提示した。もし、被験体(児)が既知の学習済の組み合わせと新奇の組み合わせを区別するならば、彼らが対象間関係を学習したと言える。弁別注視の分析から、チンパンジーおよびヒト乳児でこれを支持する証拠が得られた。よって、一方向の対象間関係の学習についてはチンパンジー、ヒト乳児での類似性を確認した。続く対称性条件では「モノB3→動きA3」または「モノB4→動きA4」を学習させ、その後のテスト試行では先の条件とは異なり、「モノ」と「動き」の提示順をひっくり返した上で、既知の組み合わせ(例:動きA3→モノB3)新奇の組み合わせ(例:動きA3→モノB4)を提示した。このような学習段階で直接経験していない逆方向の対象間関係についても被験体(児)が既知・新奇の組み合わせを区別するならば、彼らが対称性推論(A→BならばB→A)によって事象の結果を予測していたと言える。興味深いことに、ヒト乳児ではこの条件でも有意な組み合わせの弁別が示されたのに対して、チンパンジーではそれが見られなかった。これはつまり、対称性推論がヒトに特異的なものである可能性を示唆する。今後は本結果の更なる精査と慎重な考察の上、論文として成果を発表する。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)