2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本のリベラルエデュケーションの遺産―文化学院の教養教育と西村伊作
Project/Area Number |
22653101
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
平沢 信康 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (70208817)
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Keywords | 大正自由教育 / 芸術自由教育 / 生活改善 / 近代日本の社会主義 / 大逆事件 / 近代日本キリスト教史 / 知識社会 / 治安体制 |
Research Abstract |
1卓越した教養教育を大正10年から敢行した西村伊作の人間形成について詳細に調べ、わかりやすい家系図も作成した。また従来、自伝や先行研究で明記されてこなかった養子となった年月日や建築事務所を株式会社化した年月日等の確定を、公判記録や登記記録で行いえた。 2文化学院の教授、講師たちの経歴と、同校との関わりを精査した。同校所蔵資料に基づき作表した文化学院講師陣リストについて、他の諸資料をつき合わせながら修正した。 3文化学院の設立趣意書をはじめ、カリキュラム関係資料を精読し、研究した。学院内組織及び部局長の変遷史を図示した表を作成した。その過程で、同校「大学部」では当初、その本科をリセ、美術科をアカデミとフランス語で別称していた記録を発見し、同校のポストセカンダリーコースないしは高等教育段階の学科制度構想がフランスの学制をモデルにしていたことが判明した。この史実は、同校の50年史でも言及されておらず、先行研究でも指摘した研究者は皆無であったが、本研究のテーマに即した最大の発見であった。残されている資料をもとに、一部年度については時間割表も作成した。 4創設に至るまでの与謝野晶子(開設時から学監に就任)の教育思想を、晶子の数多い評論文の中から探し、女性解放の論旨との関連で、分析した。 5与謝野晶子が編纂した国語読本、文学教科書を分析した。また学院の学生による同人誌や学院の教員生徒が編集した新聞を紐解くことで、同校内部の出来事のディテールを把握することができた。 6リトミックとモダンダンスに触発された舞踊教育の山田耕筰による実践と、明星舞踏会と称される社交ダンスの草分けとなった同校講堂における講習会とにより、我が国近代舞踏史において文化学院が特筆すべき位置を有することを明らかにしえた。
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Research Products
(2 results)