2012 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な高校教育改革の実践と構造に関する臨床的研究
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22653102
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊地 栄治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10211872)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 持続可能性 / 高校教育改革 / エンパワメント / 臨床 / 内発性 |
Research Abstract |
本年度は、事例研究を継続的に実施するとともに、全国の公立高等学校(全日制および定時制課程)の3分の1にあたる1,393校を対象とする「持続可能な学校改革に関する調査」(質問紙調査)を実施した(回答者は、各学校長)。回収された374校のデータの分析および事例研究の結果から以下の知見を得ることができた。 (1)高校組織としての意思決定プロセスについてたずねたところ、全体の35.6%は、校長主導のスタイルを採っていることがわかった。内発的に組織成員を巻き込みながら持続可能な取り組みを行っている高校は、全体の4分の1程度といまだ少数にとどまっている。 (2)他校の参考となるような高校独自の取り組みを実施している高校は、全体の3分の1強と少数にとどまっている。とはいえ、改革実践校は、自らの実践が比較的成果を上げ、「持続可能な改革」であると自己評価している。改革実践校と非実践校の分極化が生じている可能性が示されている。「多くの高校はなぜ持続可能な改革に着手できないか」という点についての構造的な分析が不可欠である。 (3)高校が組織として生徒に身につけさせようとしている力は、高校階層ごとに明確に異なっている。第I層(「進学校」)では「志望大学に合格できる力」を筆頭に挙げる高校が全体の3分の1強を占めたが、第V層では教科の基礎学力・生きる力・基本的生活習慣に重きが置かれていた。また、中堅校では突出した項目が少なく、特色化が難しいことがわかる。中央では、ひとくくりにした共通教養(コア)論が語られる傾向があるが、高校自体の多様な現実を見据えることが持続可能な実践の条件となる。 (4)事例研究においては、学校組織を構成する当事者、とくに教員集団が関係性の中で相互変容していくことが重要であることが示唆され、この主体変容がこれからの教育改革の中心的なテーマであることが読み取れる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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