2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22654013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小澤 正直 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (40126313)
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Keywords | 量子集合論 / 量子解釈 / 数学基礎論 / 数理物理 / 哲学 / 量子測定理論 / 代数的量子論 / EPR状態 |
Research Abstract |
1. 量子実数と量子物理量の関係:von Neumann環の射影束上の量子集合論における量子実数(量子集合論で定義される実数)と量子物理量の間の同等関係を任意の完備オーソモジュラー束上の量子集合論に拡張した。 2. 量子実数の可換性と量子物理量の同時決定可能性の関係:量子実数の集まりについて,ある状態で可換性が成立することとその状態における結合確率分布が存在することが同等であることを示し,様相解釈におけるClifton-Halvorsonの極大存在可能代数の理論との関係を明らかにした。 3. 量子集合論に基づく量子測定理論の展開:これまでに知られている,測定過程がある量子物理量の測定である条件は,測定が行なわれる状態に依存しない定式化で,与えられた状態のもとで測定過程がある量子物理量の測定である条件は,これまで知られてこなかった。本研究では,この条件を量子集合論に基づく量子物理量の値の相等関係から導いた。すなわち,測定の初期条件において,測定前の被測定量と測定後のメーターの値が一致する条件によって,量子物理量の測定概念が特徴付けられることを示した。 4. 代数的量子論における実在性概念:HalvorsonとCliftonはEinstein, Podolsky, Rosen(EPR)に対するBohrの回答を数学的に再構築し,客観性の要求とHowardの先行研究によって導入された文脈化されたEPRの実在性基準の間の整合性を証明することにより,この回答が実験データの記述に関する古典性と客観性の要求から導かれていることを議論した。本研究では,この整合性定理をEPR状態の一般的定式化に基づくものへ拡張し,量子力学と場の量子論の双方に適用可能なものとした。これにより,代数的量子論の一般的定式化においてBohrによる古典的記述の概念によってEPR状態のもつ実在の要素を明らかにした。
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Research Products
(9 results)