2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22654016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平岡 裕章 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (10432709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 俊輔 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90203116)
大西 勇 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30262372)
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Keywords | パーシステント・ホモロジー群 / タンパク質 / 圧縮率 / 最小生成元 |
Research Abstract |
本年度はパーシステント・ホモロジー群を用いてタンベク質の圧縮率を特徴づける位相的不変量を導出する試みをおこなった.まず前年度まではProtein Data BankのX線結晶解析像データからRips複体を構成していたが,Rips複体はタンパク質の球体モデルとホモトピー同値ではないのでアルファ複体への変更を行った.具体的な計算手法はソフトウェアCGALを用いた.それをふまえてファンデルワールス半径パラメータが誘導するフィルトレーション構造のパーシステント・ホモロジー群を圧縮率が実験的にわかっているタンパク質について計算した.その後圧縮率に影響をあたえることが予想される幾何構造をパーシステント図から取り出すアルゴリズムを構築し,パラメータサーチをおこなうことで,圧縮率と非常に高い線形相関を持つ位相的不変量の導出に成功した. 一方本研究課題のもう一つのテーマである最小生成元探査問題については,Terence Taoによって導入された圧縮センシングを応用する方向で研究を進めた.ホモロジー群の最小生成元はタンパク質の厳密な穴の位置を特定する為に非常に重要な要素であるが,これは代数的には単体の要素が最小となるホモロジー群の代表元を求める問題となる.今年度の成果として,この問題は境界作用素(正確にはその双対)を用いた圧縮センシングの設定に持ち込むことが可能であり,線形最適化問題の解法が使えることがわかってきた.具体的な数値計算アルゴリズムも同時に開発し,幾つかのタンパク質にたいして空洞の正確な検出に成功した.今後ほ高速化が課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
圧縮率と相関を持つ位相的不変量の導出に成功したこと,および,圧縮センシングをもちいだ最小生成元探査問題が実用的なレベルでは解決したこと,の2点からこのように判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
アルゴリズムの高速化を進めることで汎用性を高めること今後の一つの課題である.またProtein Data Bankとの本研究成果の共同利用も検討している.一方遺伝的系統樹への応用も進めていく.
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