2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル活性種の直接安定化によるラジカル重合の新規反応制御法の開発
Project/Area Number |
22655035
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
右手 浩一 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (30176713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 朋広 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (80314839)
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Keywords | ラジカル活性種 / リチウムイオン / 安定化 |
Research Abstract |
Li^+によるラジカル活性種の直接安定化を期待し,電子供与性ラジカルを与えるイソプチルビニルエーテルの光ラジカル重合を試みた.2.2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)を開始剤として、モノマーと等モル量のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiNTf_2)存在下、塩化メチレン中0℃でUV-LED(375nm)の照射を行ったが、反応混合物をNMRスペクトルおよびSECで調べてもポリマーの存在を確認することはできなかった。溶媒に対するLiNTf_2の低い溶解性が一因と考えられる. 次に,F^-によるラジカル活性種の直接安定化を期待し,電子求引性ラジカルを与えるN,N^-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)の光ラジカル重合を行った.MAIBを開始剤とし、モノマーに対して約0.2モル当量のテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)存在下、トルエン中-40℃で重合を行ったが,収率,分子量ならびに立体規則性に顕著な変化は見られなかった. そこで,TBAFの代わりにメタノールなどのアルコールやLiNTf_2を添加してDMAAmの重合を行ったところ,LiNTf_2を添加した時のみ収率および分子量が増加する傾向が見られ,メゾ2連子の割合もわずかに減少する傾向が見られた.DMAAmモノマーのカルボニル基がルイス塩基であることから,Li^+と共鳴安定化している成長ラジカルの酸素ラジカルとの相互作用(C=C-O・--- Li^+)によって,ラジカル活性種が直接安定化されたことを示唆すると考えられる.
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