2011 Fiscal Year Annual Research Report
白色発光するキラル液晶ガラスの創成とレーザー発振の全可視波長チューニング
Project/Area Number |
22655047
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
古海 誓一 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主幹研究員 (30391220)
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Keywords | キラル / 液晶 / フォトニック結晶 / ガラス / レーザー / チューニング / 白色発光 / フォトニックバンドギャップ |
Research Abstract |
周期構造を持った媒質に、その繰返し周期と同程度の波長を持つ光が入射すると、媒質と光の相互作用が大きくなることがある。これは、「フォトニック結晶」の「フォトニックバンド効果」が起因している。近年、フォトニック結晶に関する研究が盛んであるが、フォトニック結晶は、半導体デバイス作製のための微細加工技術を駆使して集積されている。しかし、煩雑な作製工程のために簡便に得ることは容易でない。一方、キラル液晶(コレステリック液晶)は材料の中に分子キラリティーが存在すると、数百nmの周期を持つ超分子らせん構造を自発的に形成できる。この構造は屈折率が変調しているため、ブラッグ条件を満たす特定の波長の円偏光を選択的に反射し、一次元フォトニック結晶と見なすことができる。近年、レーザー色素を添加したキラル液晶を用いて、外部共振ミラーを必要としないレーザー発振に関する研究が世界的に活発である。しかし、ほとんどの報告において、企業から提供された液晶ディスプレイ用材料の混合物であり、その化学構造式と成分は企業秘密である。 今年度は、ガラス状態を示すコレステリック液晶材料をデザインし、合成することで、新しいチューナブル固体レーザーへの展開を行った。この液晶材料を過冷却すると、ファンデルワールス力を介してガラス状態に固定化でき、しかも、過冷却操作を応用することでレーザー発振の波長をチューニングすることに成功した。さらに、自己組織化フォトニック結晶に関する研究の一環として、コロイド結晶ゲルを用いたチューナブルレーザー発振にも成功した。高分子ゲルで固定化したコロイド結晶膜にイオン液体を導入することで永続的に安定化し、膜厚方向に機械的応力を加えてフォトニックバンドギャップをコントロールした。これに伴ってレーザー発振の波長もチューニングすることができた。この研究成果は、Nature Asia Materials誌のハイライト記事に紹介された。
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