2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22656053
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高松 洋 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20179550)
|
Keywords | 不可逆エレクトロポレーション / 細胞膜電壊療法 / 癌治療 / 電場解析 / 熱伝導解析 / 熱的損傷 / パルス電圧 / ジュール発熱 |
Research Abstract |
本研究は,細胞にパルス電圧を印加して細胞膜を破壊するエレクトロポレーションを癌などの組織中の細胞に適用する新しい治療法の開発に関するものである.この方法で重要な点は,穿刺した2本の電極間の細胞が確実に破壊され,かつ,ジュール発熱による組織(細胞外基質)の熱的損傷が生じない条件を決定することである.そこで,本研究は,三次元数値解析により最適条件を求めるとともに,実験によりその妥当性を確認することを目的とする.本年度の成果は以下のとおりである. 1.解析 生体ファントム内に設置された二本の電極間に電圧がステップ状に印加された場合について,ファントム内の電場の方程式,エネルギー式,電極内の熱伝導方程式を併せて解いて,電位および温度分布の時間変化を求めた.そして,細胞の破壊に必要な電界および組織内最高温度に及ぼす電極間距離や印加電圧の影響を明らかにした.また,温度上昇は電極の導電部と絶縁部との境界近傍の根元部分で最も高く,二次元解析からの予測値よりも極めて高くなることを明らかにした.この結果は,既往の二次元解析が不十分であり,三次元解析が不可欠であることを示している. 2.実験 感温性色素封入マイクロカプセルを分散して固化させた寒天を生体ファントムとした実験方法を考案した.そして,色素によるファントムの色(輝度)と温度の関係を実験的に明らかにした上で電圧印加実験を行い,電極近傍における輝度の低下より温度上昇が生じたことを確認した.
|
Research Products
(2 results)