2011 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性/圧電フィルム層ユニットを有するCFRP積層材の制振/耐損傷性能評価
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22656056
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 浩治 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (70322427)
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Keywords | ダンピング / 耐損傷設計 / 粘弾性 / 圧電フィルム / 複合材料 / FRP / 落垂衝撃特性 |
Research Abstract |
本研究では,軽量・高強度構造材として注目されている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)積層材へ,粘弾性素材と圧電素材を組み合わせた新たな層ユニットを導入し,その制振/耐損傷性能の飛躍的な向上及び機能化/知能化を目指す.その為に,この粘弾性/圧電フィルム層ユニットによるCFRP積層材の制振/耐損傷性能向上のメカニズムについて,主にモード"ひずみエネルギ"(MSE)法的アプローチをとりながら,綿密なる試験測定,数値解析(有限要素法(FEM)による構造-圧電連成解析)の両面を駆使し探究する. 本年度も,汎用有限要素法解析コードANSYSを用いたFEM数値解析から粘弾性/圧電フィルム層ユニットの性能を評価・検討した.粘弾性/圧電フィルム層ユニットとして,TYPE-A:粘弾性-圧電-粘弾性(3層)およびTYPE-B:粘弾性-圧電-粘弾性-圧電-粘弾性(5層)の2種類を検討し,本数値解析の結果より,印加電圧に応じた圧電層の伸縮にともない粘弾性層中に大きなせん断ひずみを発生させることができていることをこれまでよりもさらに高精度に確認できた.MSE法によれば,粘弾性層へのこのような大きなせん断ひずみの蓄積が示されたことは,構造体全体としての制振性能・耐損傷性能の向上が期待できることが示唆されている.さらに,中央加振法によるCFRP積層供試体の振動減衰特性評価試験を粘弾性/圧電フィルム層ユニットを有する供試体に対して実施した.ただし,圧電フィルム層への電圧印加によるアクチュエータ機能の実験的な評価については次年度の課題とした. さらに,本年度は,新たに落垂衝撃試験装置の設計・製作も実施した.試験装置の試運転は完了したので,次年度に,作成した供試体に対する耐損傷性評価をこの試験装置を用いて実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
供試体の設計製作とFEM数値解析については,概ね予定通り進行しているが,中央加振法による供試体の振動・減衰特性の実験的評価が,高感度センサーの必要性が判明したり,ノイズ除去等で手間取り,本格的な測定が次年度(最終年度)にずれ込むこととなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては,問題点(高感度センサーの準備など)はすでに整理させているので,それを解決した上で,計画した内容を実施できるように,ペースアップして,研究を進めていくことにしている.落垂衝撃試験についても急ピッチで結果を出してゆきたい.ただし,圧電フィルムへの電圧印加によるアクチュエータ効果および非線形振動現象の解明については,場合によっては,当該研究では,その足掛かりを形成するところまでにとどまることも可能性として残している.
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Research Products
(2 results)