2011 Fiscal Year Annual Research Report
入浴環境における熱中症被害軽減のための人体温熱生理モデルの開発
Project/Area Number |
22656125
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊香賀 俊治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30302631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 進悟 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80129650)
鈴木 昌 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70265916)
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Keywords | 入浴事故 / 熱中症 / 体温予測モデル / 被験者実験 / アンケート調査 / 住宅仕様 / 入浴方法 |
Research Abstract |
近年、わが国における入浴中の熱中症が原因と考えられる死亡事故が増加傾向にある。入浴中の体温は湯温や入浴時間等の入浴方法によって変化するが、その影響の定量評価は行われていない。また定量評価を行うためには人体温熱生理モデルを用いた数値解析が有効であると考えられるが、入浴時に対応したモデルは存在していない。そこで、本研究は建築環境工学、医学の学際的な共同研究を行い、入浴中に熱中症が発生する際の人体生理量の変化を解明し、入浴時に対応した人体温熱生理モデルを開発することを目的とした。 既往の人体温熱生理モデルを基に、入浴時の体温予測モデルを開発した。具体的には、健康な成人男性を対象に被験者実験を実施し、入浴方法と体温上昇の関係を把握した。次に、実験結果を基に人体温熱生理モデルのパラメータを決定し、入浴時の体温を精度良く再現できるようモデルを改良した。さらに、成人に比べ発汗量・皮膚血流量等が減少する高齢者にも対応できるよう、既往文献を参考にパラメータを変更し、高齢者に対応した入浴時の体温予測モデルを開発した。 入浴時の体温と熱中症の関係を把握するため、インターネットアンケート調査を実施した。その結果、体温上昇に伴って熱中症を発症する割合が増加することが示された。更に救急隊の救助を要する人の割合を熱中症リスクと定義し、症例データ(入浴事故防止委員会調べ)を用いて重症度の分析を行った。これにより、入浴による体温の上昇と死亡や重篤といった危険度の高いリスクの関係性を定量的に示すことが可能となった。 住宅仕様(断熱性能・暖房設備)と入浴方法(入浴時間・湯温)の関係を把握するため、インターネットアンケート調査を実施した。その結果、断熱性能が高いほど入浴時間は短く、湯温は低い傾向が得られた。これにより、体温上昇と熱中症リスクの関係のみならず、住宅仕様まで加味した熱中症リスクを明確に示すことが可能となった。
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Research Products
(2 results)