2011 Fiscal Year Annual Research Report
震災時における都心部非定住被災者の受療行動予測・対応策に関する研究
Project/Area Number |
22656133
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
山下 哲郎 工学院大学, 建築学部, 教授 (00239972)
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Keywords | 首都直下地震 / 新宿 / 被災人口 / 医療拠点 |
Research Abstract |
都心部には多くの人々が様々な目的で集まり、地域内に居住していない、いわゆる非定住者が多く存在している。都心部の震災時においては、そこに集中した人口に応じて多数の負傷者が生じると想定されるが、医療が充分に提供されず、多くが行き場を失う可能性がある。医療施設に多数の負傷者が押しかけることによって起こる混乱を避ける為、診療制限が行われるといった想定もあるからである。実情は、都心部に集まってくる多くの非定住者に対する防災計画や震災時の医療提供計画の検討の必要性は、理解されてはいるが未だ充分ではない、というところであろう。 都市防災計画の課題である、震災時に予想される多くの負傷者に対し、円滑な医療提供が行える、都心部の震災時の医療提供の在り方を探ることを目的として、本研究では非定住者に着目し検討した。震災時においては、救護所や医療施設等の場所が分からず治療を受けられない人たち等のために、最前線医療拠点が必要と考え、公共空間や施設・オフィスビルのホール等を利用し、最前線医療拠点を設け、行政(区・都・消防・自衛隊等)や医療関係者の派遣等によって、被災患者に対して医療を提供しようという仮説を立て、その条件を整理することを具体的な検討課題とした。 研究結果を基に、最前線医療拠点の配置について検討を試みた。就業時間帯において、新宿駅周辺に仮に11ヶ所の最前線医療拠点を配置するという想定であるが、医療施設1ヶ所あたりの平均患者数は、最前線医療拠点数を13ヶ所とすると、70名/施設程度である。負傷者数の割合は西口が約65%、東口が約35%であることから、最前線医療拠点を西口に7ヶ所、東口に4ヶ所配置する。災害拠点病院も合わせると西口に8ヶ所、東口に5ヶ所である。また、駅までの距離と負傷者数を基に拠点数を考えると、西口から200m離れた地点に1ヶ所、同様に500mに3ヶ所、800mに3ヶ所、1,100mに1ヶ所。東口では200mに1ヶ所、500mに2ヶ所、800mに1ヶ所、1,100mに1ヶ所である。
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