2010 Fiscal Year Annual Research Report
高保持力・高加工性を有するマンガン・ガリウム磁石の可能性
Project/Area Number |
22656149
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20202004)
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Keywords | ハード磁石材料 / 希土類フリー / 状態図 / 規則-不規則変態 / 磁気変態 |
Research Abstract |
高保持力を有する磁石として現在広く実用されている希土類磁石は、Nd,Dy,Sm等が特定国に限定された戦略物質を含んでおり、これらを含まない高性能磁石の必要性が叫ばれている。その中で、高い磁化が期待できるMnを主成分とした強磁性化合物は魅力的である。一方、Mn-Ga系では、L10もしくはDO22型強磁性相の存在は報告されているもののその2元系状態図すら確立されておらず、合金元素による相平衡や磁気特性の変化に関する研究は殆ど存在しない。そこで、本研究では、合金組成や時効熱処理条件を幅広く変化させ、フェライト磁石レベルの在留磁化と10kOe以上の保持力を有する新しいMn系磁石の開発を目指す。平成22年度の成果は以下の通り。 1.合金組成の最適化:Mn-Ga-Cu、Mn-Ga-Ni系の800℃の状態図について、2段階拡散対(拡散トリプル)を利用したバルクコンビナトリアル法により決定した。その結果、何れの合金系においてもMn-Ga側にhcp-Mn相が存在しfcc-Mn相の安定性を阻害することが判明した。この様にして得られた情報を参考に、fcc中にL1_0相(もしくは準安定DO_<22>相)が析出しうる組成領域を予測し、合金試料を作製した。また、合金の加工性を冷間圧延機により評価した結果、fcc-Mn相の状態では高い靭性を示すことが分かった。 2.熱処理条件の最適化:1.で得られたMn-Ga-Cu、Mn-Ga-Ni系fcc-Mn合金に対し、800℃における溶体化試料を300~500℃の温度範囲で時効処理し、VSMやSQUIDを用いて磁気特性を評価した。しかし、これら三元合金の磁気特性は、Mn-Ga2元合金と比べさほど良好とはいえなかった。 3.Mn-Ga基合金に関するここまでの研究成果をまとめ、投稿の準備を行った。
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