2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温ガス炉熱を利用した高温ヒートポンプ水素製造システム構築研究
Project/Area Number |
22656212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深田 智 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50117230)
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Keywords | 水素 / 原子力エネルギー / エネルギー効率化 / ヒートポンプ / 水素吸蔵合金 |
Research Abstract |
高温ガス炉熱からガスタービンを使い電気エネルギーに転換する際の最大転換効率はカルノーサイクルで支配され、また電力の使用量変化に追随するため余剰電力を蓄積する必要があり、蓄電池等の余剰設備が必要である.高温ガス炉出口温度は700-900℃と予想され、この熱をガスタービンではなく水素の化学エネルギーに直接変換すると上記の制限がなくなる。従って、製造水素を燃料電池自動車上を始めとした利用と結びつけ、高温ガス炉を多目的化することが、将来のエネルギー需要に応じた適切な方針と考えられる。この水から水素への直接変換法としてヨウ素と硫黄を触媒にしたI-Sサイクルが検討されているが、この変換効率がそれほど高くないので、高効率化が必要となる。 本研究では、各種高温融体中に水素吸蔵合金粒子を分散させ、そこへの水素吸収と脱離作用の際に発生する熱を利用して、化学ヒートポンプ作用を施しエネルギー転換効率を高めようというのが本研究の目的である。平成23年度は研究の2年目で、Li含有溶融液体中の分散粒子への水素吸収と脱離作用を確かめ、本方法が原理的に可能であることを確かめた。熱移動を律速するのは高温融体中の水素の移動であり、この拡散過程、水素の吸収脱離平衡過程解明に特に集中して検討した。成果はいくつかの英語論文で発表した。 さらに本方法を有効にするには、水素の利用過程と結びつけることであり、プロトン伝導性酸化物や高分子燃料電池の検討も合わせて行い、成果奢英語露文や国際学会等で発表した。さらに製造水素を金属透過管を使い回収することで効率が上昇する可能性が分かり、こめ点についても実験を継続している。 今後は、この分野の研究をさらに押し進め、熱移動過程と水素物質移動過程を結びつけ、より広範囲な利用に結びつけたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の高温融体中の水素吸収脱離過程、熱移動過程、さらに燃料電池を始あとした利用過程は順調に研究が進展している。ただ本来の高温ガス炉計画進展の予測が未定であるため、今後の水素製造利用システムについて不確定要素が若干ある。
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Strategy for Future Research Activity |
一次エネルギー源として高温ガス炉を考え、その熱から水素を効率よく製造し利用するシステムを構築するには、システムの一部だけではなく、水素の製造、運搬、利用、貯蔵を整合して進化させる必要がある。現在はともすれば燃料電池等の利用面に重きを押して注目されているが、長期エネルギー源利用として、水素製造サイクルにさらに注目して研究を実行する必要があると考える。そのためにも本研究の様に水素製造効率を高める研究の進展が必要と考える。
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