2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内3ゲノムの遺伝子発現同時リアルタイム測定系の開発
Project/Area Number |
22657001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (20132730)
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Keywords | レポーター遺伝子 / 生物発光 / ルシフェラーゼ / クラミドモナス / オルガネラ |
Research Abstract |
真核細胞には核以外にもゲノムを持ったオルガネラが存在する。ミトコンドリアと葉緑体である。これらのオルガネラのゲノムは核と異なり細菌とよく似た遺伝子発現機構で制御されている。生物は様々な環境変化に適応するために核やオルガネラゲノムの遺伝子発現をダイナミックに変化させることで細胞全体の調和をとっている。本研究では異なる波長で発光するルシフェラーゼレポーターを用いて核・葉緑体・ミトコンドリアの遺伝子発現を同時にリアルタイム測定できる世界で初めての実験系の確立を目指す。 遺伝子発現のリアルタイムレポーターには大きく分けてGFP等の蛍光タンパク質とルシフェラーゼ等の発光タンパク質がある。クラミドモナスは光合成生物であるため葉緑体の自家蛍光が強く、蛍光タンパク質は不向きである。それに対し、ルシフェラーゼレポーターは励起光が不要であるため自家蛍光に影響されず、さらに定量性において極めて優れており、ダイナミックな量的変化を検出しようとする本研究に適している。申請者はすでにクラミドモナスの葉緑体ゲノムにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ株(葉緑体レポーター株)を作製し、葉緑体の遺伝子発現モニタリングに成功している(Matsuo et al., 2006, Mol Cell Biol)。本研究ではそれに加え"核レポーター株"と"ミトコンドリアレポーター株"をそれぞれ作製する。核、葉緑体、ミトコンドリアはそれぞれ異なる波長で発光するルシフェラーゼ遺伝子を用いる。その後、交配により3つのレポーターを全て持った細胞を作製し、それぞれのオルガネラ由来の発光を光学フィルターで分光し、別々に定量する。 今年度は核のレポーター株を作製した。クラミドモナスの核ゲノムの使用コドンに最適化した赤色ルシフェラーゼ遺伝子(鉄道虫由来)を人工合成により作製し、クラミドモナスの時計遺伝子の制御下で発現させ、生物発光を測定することに成功した。
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