2011 Fiscal Year Annual Research Report
給餌時刻を予知するメタボリック・オシレーターの発掘
Project/Area Number |
22657020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
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Keywords | 脳・神経 / 摂餌 / サーカディアンリズム / 動物行動 / 時計遺伝子 / 視床下部 / 体内時計 / CRY |
Research Abstract |
一日の中で休息期の短い特定の時間帯だけに食餌を与える「制限給餌条件」で動物を飼育すると、活動期でないにもかかわらず給餌時刻の少し前から行動量が顕著に上昇する。この予知行動リズムは、最低限の食餌を確保するために作動する神経機構であり、既知の時計機構とは全く異なる体内計時システムの存在が想定されている。本研究では、このメタボリック・オシレーターの分子実体に迫ることを目的としている。これまでに、マウスに給餌以外の刺激を与えることなく、厳密な制限給餌実験を行うための装置として自動給餌装置を開発し、これを特許申請した。本年度は、この自動給餌装置を駆使して制限給餌を行うことにより、メタボリック・オシレーターに分子レベルでメスを入れた。具体的には、昨年度までに摂餌時計の中枢脳領域として注目していたMBH(視床下部の内側基底部)において食餌に応答する遺伝子を探索した。制限給餌を行ったマウスから様々な時刻にMBHを単離し、そのtotal RNAをAgient社のマイクロアレイ(SurePrint G3 Mouse GE 8x60K フォーマット)解析に供した。これと同様の解析を、明期に制限給餌を行ったマウスと暗期に制限給餌を行ったマウスを用いて遂行し、両者の結果を比較解析した。その結果、給餌予知行動が見られる時刻に特異的に転写誘導される54個の遺伝子と転写抑制される180個の遺伝子を同定した。申請時の計画の通り、摂餌に応答する遺伝子のリストを手に入れたので、今後はこれら遺伝子群を分子的な切り口として、メタボリック・オシレーターの振動原理に迫ることが可能となった。
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Research Products
(2 results)