2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックなリソソーム動態を制御する因子群の探索と機能解析
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22657032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30302615)
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Keywords | リソソーム / 線虫 / 低分子量G蛋白質 / RNAi / エンドソーム |
Research Abstract |
リソソームは様々な膜オルガネラと直接融合・再形成を繰り返し、物質分解に重要な役割を果たすダイナミックな膜オルガネラである。平成22年度においては、モデル生物線虫を用いて、新しいタイプの低分子量G蛋白質Arl8の欠損変異体が、これまで報告されたことのない特徴的なリソソーム・後期エンドソームの形成異常の表現型を示すことを見出した。Arl8欠損変異体においては、マクロファージ様細胞であるcoelomocytesに存在するリソソーム・後期エンドソームが断片化し、多数の小型化した膜小胞となった。この表現型は、初期エンドソームから後期エンドソームへの輸送に重要なsand-1のRNAiにより抑制されたことから、Arl8欠損変異体における多数の小型化した膜小胞は、大部分が後期エンドソーム様オルガネラであることが示唆された。また、ピノサイトーシスによりcoelomocytesに取り込まれた物質は、初期エンドソームを経て、後期エンドソームまで輸送されたが、リソソームまでは到達しなかった。ヒトmucolipin-1ホモログであるcup-5は、リソソームと後期エンドソームの融合により生じるハイブリッドオルガネラから、リソソームを再形成するのに重要な遺伝子で、cup-5欠失変異体では巨大なハイブリッドオルガネラが形成されるが、この巨大ハイブリッドオルガネラの形成は、Arl8欠失変異体では抑制された。以上の結果から、Arl8はリソソームと後期エンドソームの融合に重要な低分子量G蛋白質であることが示唆された。
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