2011 Fiscal Year Annual Research Report
絹糸腺の解毒、排泄および生体防御における機能の解明
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22658020
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
神村 学 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫成長制御研究ユニット, 主任研究員 (60370649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 力 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, 主任研究員 (90370676)
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Keywords | 絹糸腺 / 繭 / 解毒 / 排泄 / 免疫 |
Research Abstract |
ガ類の絹糸腺は絹タンパク質の合成に特化した器官であり、それ以外の生理機能は持たないと考えられてきた。しかし、吐糸中のカイコの絹糸腺で発現する遺伝子を調べたところ、解毒、排泄関連の遺伝子が強く発現していた。また、ガの繭上で微生物が繁殖することがないことから、繭中に抗菌物質が含まれていることが示唆される。このように、絹糸腺は解毒や排泄、抗菌物質の分泌などの多様な働きを担っている可能性が考えられる。そこで本研究では、絹糸腺が実際にこれらの機能を持っていることを証明し、その詳細を明らかにする。 昨年度は、数種類のガ類の繭を集め、大腸菌や黄色ブドウ球菌の培養プレートにこれらの繭をおいてみたが、繭の周りでこれら細菌の生育が抑えられることは無かった。そこで、今年度はさらに多くの種類のガの繭を集めた。これらをより多くの細菌類やさらに真菌類の培養プレートに置いて、抗微生物活性を調べる予定である。 また、カイコの絹糸腺で発現する遺伝子をマイクロアレイ解析により網羅的に調べた。吐糸期中の絹糸腺では、昆虫の排泄器官であるマルピーギ管で高発現している各種のトランスポーター類の遺伝子が多数発現していたが、それらの多くは節食期の絹糸腺ではほとんど発現していなかった。これらの結果から、絹糸腺が変態期(=吐糸期)特異的に排泄器官として機能している可能性が強く示唆された。また、アミ重要な栄養成分であるアミノ酸や糖のトランスポーター類も高発現していた。この結果は、変態過程で出てくる過剰養分を絹糸腺を通して繭中に排泄している可能性を示唆している。次年度は、この2つの可能性を具体的な生理学、生化学的実験により検証したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの結果が得られていない部分もあるが、予想していなかった新規性の高い結果も得られつつあり、全体としては順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析の結果、当初計画で期待した通り、変態過程(繭作り過程)の絹糸腺で老廃物の排泄に関係する遺伝子が多数発現していることが確かめられた。また、重要な栄養成分であるアミノ酸や糖のトランスポーター類が複数種、高発現していることもわかってきた。この結果は、絹糸腺が老廃物だけでなく、過剰栄養分の排出を行っているという可能性を示唆している。本年は、この2つの可能性について絞って、多角的に解析したい。
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