2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい発想を基盤としたインフルエンザウィルス補足型感染阻害剤の合成とその応用
Project/Area Number |
22658035
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 憲二 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70109049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 久 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (40379087)
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Keywords | インフルエンザウィルス / 感染阻害剤 / シアロ糖鎖 / シアリルラクトース / キトサン / MDCK細胞 / エンド-M |
Research Abstract |
本研究はインフルエンザウィルスがシアル酸に結合することに着目して、その受容体であるヘマグルチニンを介した結合を阻害する阻害剤を創製しようとするのが目的である。すなわち、ニワトリ卵黄から得られるシアロ糖鎖を天然ポリマーに多価重合し、ウィルスを絡め取るような捕捉型の感染阻害剤を作成することを意図した。昨年度はシアロ糖鎖をアルギン酸に多価重合した阻害剤を作成したが、本年度は簡易に阻害剤を作成する目的で、シアロ糖ペプチドを酵素処理して得られるシアロ糖鎖の還元末端の糖残基を還元アミノ化反応によってキトサンのアミノ基と結合し、ペンダント状にシアロ糖鎖をキトサンに結合させた阻害剤、および3糖のシアリルラクトースを還元アミノ化反応によってキトサンに多価重合した阻害剤を調製して、その感染阻害効果を検討した。シアロ糖鎖はニワトリ卵黄より得た糖ペプチドにMucorhiemalis由来のエンド-β-Nアセチルグルコサミニダーゼ(エンド-M)を作用し、還元末端側にN-アセチルグルコサミン1残基を残したシアロ複合型糖鎖を調製した。シアロ糖鎖およびシアリルラクトースのキトサンへの付加はNaBH3CNの存在下で還元アミノ化反応を行った。ウィルス感染阻害試験は96穴プレートのウェルにMDCK細胞を固定化し、阻害剤とインフルエンザウィルスを混合した反応液をインキュベートした後、パラホルムアルデヒドで固定し、ウィルスのモノクローナル抗体を用いた免疫蛍光抗体法によりウィルス感染細胞を蛍光顕微鏡によってカウントして感染阻害能を調べた。その結果、シアリルラクトースのみによる感染阻害活性は非常に低いが、シアリルラクトースをキトサンに多価に付加した阻害剤は高い感染阻害能を示した。シアリルラクトースの付加率は阻害能に影響することも確認された。また、シアロ糖鎖をキトサンに多価に結合した阻害剤の感染阻害能は遊離のシアロ糖鎖のみによる阻害能に比べて有為に高かった。
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Research Products
(2 results)