2010 Fiscal Year Annual Research Report
野生草食動物における新たな食性研究法(DNA feed profiling)
Project/Area Number |
22658050
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白石 進 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70226314)
|
Keywords | シカ / 食性 / DNA塩基長多型 / 葉緑体DNA / DNAバーコーディング |
Research Abstract |
排泄物(糞)中に含まれる被食植物の残存DNAを用いた食性の簡便・迅速な研究法(DNA feed profiling, DFP)を確立するために,葉緑体ゲノムおよび核ゲノム中に存在する塩基配列長の種間変異を利用した効率的な分析系の可能性について検討した。種特異性の高いDNA領域の探索を行った結果,葉緑体ゲノムのtrnD-trnY, trnF-trnL, trnP-trnWの3遺伝子間スペーサー領域が,多くの植物種で保存されており,かつ塩基配列長多型にも富んでいることが明らかとなった。 上記の3DNA領域について,PCR (polymerase chain reaction)で増幅するためのユニバーサルプライマー対を設計すると共に,糞からのDNA単離法,PCR組成・条件等について検討し,DFP分析系を確立した。この分析系を用いて,192の植物種の塩基長を決定し,塩基長から植物種を同定するためのデータベースの構築を進めると共に,主要林業樹種(スギ,ヒノキ,カラマツ等7樹種)については塩基長の種内変異についても調査した。その結果,近縁種間に同じ塩基長をもつものが認められたが,3領域を用いることにより,種レベルで同定できるものが増加した。また,ヒノキ等で若干の塩基長多型(ハプロタイプ多型)が確認された。 さらに,このDFP法を用いて、採食履歴のあるシカ糞の分析を行った結果,採食リストに含まれる植物種が検出され,DFPによる草食動物の食性研究の可能性が示された。
|
Research Products
(2 results)