2011 Fiscal Year Annual Research Report
野生草食動物における新たな食性研究法(DNA feed profiling)
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22658050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白石 進 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70226314)
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Keywords | シカ / 食性 / DNA塩基長多型 / 葉緑体DNA / DNAバーコーディング |
Research Abstract |
排泄物(糞)中に残存する植物DNAを用いたシカ食性の簡便研究法(DNA fged profiling, DFP)を確立するために,葉緑体ゲノム中に存在する塩基配列長の種間変異を利用した効率的な分析系について検討を加えた。葉緑体ゲノムの全塩基配列が決定されている被子植物75種,裸子植物18種,その他12種,計105種について遺伝子の配置構造を解析した。その結果,既に開発済みの3領域(trnD-trnY,trnF-trnL,trnP-trnW,)遺伝子間スペーサー領域)に加えて,裸子植物で11領域,全植物で2領域が保存されていることが明らかになった。これらのDNA領域について,PCR (polymerase chain reaction)で増幅するためのユニバーサルプライマ「対を設計し,DFP分析系を確立した。 スギ品種に対するシカの嗜好性の調査法の確立を試みた。葉緑体DNAゲノム中のSSR (simple sequence repeats)を新たに6マーカー開発した。これに,既報(Hirao et al.2009)のマーカーを合わせて利用することにより,多くの品種の同定が可能となった。 さらに,シカの採食テリトリーの解明を行うためのDNA分子マーカーの開発を進あるため,ミトコンドリアDNA上のD-Loop領域等の多型を利用した個体識別分析法について検討すると共に,シカ糞からの雌雄鑑定と個体鑑定を試みた。その結果,比較的新鮮な糞を分析に供することにより鑑定が可能であった。
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