2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22658052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西尾 嘉之 京都大学, 農学研究科, 教授 (00156043)
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Keywords | 木質材料 / 化学加工 / マグプレート / 磁化特性 / 超常磁性 / 木材成分 |
Research Abstract |
光に透ける軽量木質マグプレート・マグシートを設計試作することを主目的に、直接天然木粉を化学修飾して熱可塑性と磁場応答機能の同時付与を達成する試みと、木材成分を個々に修飾あるいは複合化して同様の性質と機能を発現させる試みの2つのルートで研究を進め、以下の成果を得た。 1. 木粉の誘導体化と磁性付与 木粉(WF)にヒドロキシプロピル化と軽度のカルボキシメチル化を施して誘導体CMHP-WFを調製した。この誘導体に、FeCl_2水溶液への浸漬処理(鉄イオンのインターカレーション)、NaOH水溶液によるアルカリ処理、過酸化水素水による酸化処理を順次施し、酸化鉄内包の木粉誘導体(o-Fe-CMHP-WF)を得た。最終生成物の誘導体は熱可塑性を示し、約170℃にて熱圧シートに成形可能であった。該熱圧シートは良好な透明性を有し、汎用磁石にも応答した。超伝導量子干渉磁束計(SQUID)による磁化測定の結果、o-Fe-CMHP-WF並びにその成形シートは、室温で超常磁性を示すことが判った。 2. 木材成分の複合化と磁性付与 (1) セルロース(Cell)とポリビニルアルコール(PVA)との複合フィルムを均一混合溶液から凝固法によって調製する際にはゲル化過程を経る。前項に準じた化学処理によって凝固ゲルのネットワーク内で酸化鉄ナノ粒子をin Situ合成したところ、透明性を有する赤~褐色の磁性ゲルとなった。乾燥後には透明性を保持した磁性フィルムが得られ、SQUID測定により常温超常磁性体であることが判った。 (2) リグニンの誘導体と複合化に関して、オルガノソルブリグニンと脂肪族ポリエステルとの相溶ブレンドの特性解析、リグノスルホン酸/PVA複合ゲルの調製と吸水性・カチオン吸着能の評価等を行った。
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Research Products
(10 results)