2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の特性を活用した新しいiPS細胞作製技術の開発
Project/Area Number |
22658063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70344330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 勇人 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (40569729)
宇治 督 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所, 研究員 (40372049)
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Keywords | iPS細胞 / 多能性 / トランスジェニックフィッシュ / メチル化 / 2013/10/04 / 再生 |
Research Abstract |
本研究では、受精卵への顕微注入等が容易で、ヒレが切断後に高い再生能を示すと言う2つの魚類の特性を活用して、魚類iPS細胞の開発を試みることを目的とする。マウスで最初に開発されたiPS化技術では、ウィルスベクターを使って山中4因子(Oct4、Sox2、Klf4、cMyc)を細胞に導入している。養殖に応用することを考えると、魚類iPS細胞を開発するのにウィルスベクターを使うことは避ける必要がある。そのため本研究では遺伝子ノックダウン、山中4因子のmRNAの細胞への注入や代替化合物とのインキュベートにより、ウィルスベクターを使わずにiPS化を試みることとした。まず、山中4因子のmRNAをゼブラフィッシュの1細胞胚に顕微注入し、発生への影響を調べたところ、Sox2とKlf4 mRNAの共注入により胚細胞のOct4発現が長期維持され強い発生異常が起こった。新規DNAメチル化酵素であるdnmt1に対するアンチセンスモルフォリノオリゴを顕微注入によっても類似の現象が認められ、これら2つの操作により胚細胞の多能性が延長できることが示唆された。 哺乳類ではiPS化の一つの指標としてOct4プロモーターのメチル化程度が使用されているので、魚類でも指標として利用可能かを調べるために、ゼブラフィシュとメダカのOct4プロモーターのメチル化をbisulfite法で解析した。ゼブラフィシュのOct4プロモーターは、初期胚では完全に非メチル化状態で、生体鰭では高度にメチル化されていた。メダカでは、初期胚では非メチル化状熊で、生体鰭でもメチル化程度は低いことが分かった。従って、ゼブラフィシュではOct4プロモーターのメチル化程度をiPS化の指標として利用できるが、メダカでは他の指標を用いる必要性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、22年度に多能性をGFP蛍光でモニターするトランスジェニック系統を作製し、22年度に多能性を付与する方法と多能性をモニターする方法を開発することができた。計画通りに研究が進んでいることから評価を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに準備したトランスジェニック系統と多能性に関する技術を駆使して、胚細胞あるいは再生鰭細胞からiPS細胞を樹立することをめざす。
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Research Products
(6 results)