Research Abstract |
【目的】哺乳類生殖細胞(卵および初期胚)の超低温保存は,実験動物・家畜における効率的な遺伝資源の保存やヒト生殖補助医療技術として重要である.特に未受精卵での超低温保存は,今後ますます重要になってくると考えられる,本実験では,新規の凍害保護物質(Cryoprotective agents;CPA)であるカルボキシル基導入ポリリジン:COOH-PLL)およびethyleneglyco1(EG)で保存したマウス未受精卵・初期胚の胚発生能および産仔への発生能について検討した.【方法】過剰排卵を誘起した雌マウスから卵丘細胞卵子複合体(COCs)を採取した,採取した未受精卵を,15%CPAおよび20%FCSを含む平衡液に3分間平衡させた後,30%CPA,20%FCSおよび0.5 M sucroseを含むガラス化保存液に1分感作させ,クライオトップを用いて液体窒素中で保存した.CPAとしてCOOH-PLLおよびEGを用い,Contro1(EG30%),E20P10区(EG20%+PLL10%),E15P15区(EG15%+PLL15%)の3群で比較した.加温は,1.0 M sucroseおよび20%FCSを含むPB1中で行った.その後,TYH中で1時間回復培養を行い,体外受精に用いた.体外受精終了後,卵は体外培養し,胚盤胞への発生を調べた.また一部の卵は,24時間後に2細胞期まで発生したものを胚移植し,産仔への発生率を調べた.【結果】E20P10およびE15P15区ともに胚盤胞までの発生率においてコントロール(E30区)と比較して有意な差はなく,高い割合を示した.また,E20P10区の胚80個を5匹の雌マウスに移植した結果,37匹の産仔が得られた,この時産仔への発生率は46.2%であり,Contro1区の34.8%(産仔数32/移植胚数92)と比較して高い割合を示した.一方,E15P15区の産仔率は,16.7%(産仔数12/移植胚数72)であり低い割合を示した,以上のことからCOOH-PLLおよびEGをCPAとしてガラス化保存したマウス未受精卵・初期胚は産仔への発生能を有することが明らかとなった,
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