2010 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン生成の新分子機構提案:膜インターフェースにおけるノネナール修飾を軸に
Project/Area Number |
22658095
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲葉 睦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00183179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 耕太 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50283974)
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Keywords | プリオン病 / 脂質過酸化 / ヒドロキシノネナール / 膜 / 構造変化 / 病態 |
Research Abstract |
プリオン病の病態には異常プリオン蛋白質(PrPSc)の蓄積が中心的な役割を果たすが、内因性PrPCからPrPScが形成される機序は未だに謎である。本研究は、申請者らが赤血球膜で偶然に見出し再認識したヒドロキシノネナールによる分子修飾という従来にない視点に立ち、脂質過酸化産物=アルデヒドによる分子修飾を起点にしたPrPCからPrPScへの構造変化という新たな仮説を設定し、その検証を目的とする。本年度は、まずPrPCに対するHNE修飾の有無の検証を行った。健常マウスとPrPSc接種スクレイピーマウスから脳乳剤を調製し、ならびにプロテアーゼ分解フラグメントのFT-MS、あるいはMALDI-TOFMS解析を行ったが、明らかなHNE付加を示唆する質量変化は認められず、また抗HNE抗体でのイムノブロットではいくつかのシグナルが認められたが、PrPに相当するポリペプチドとの一致は認められなかった。一方、N2a細胞、ならびにマウスPrPCを安定過剰発現するN2a-MoPrP細胞について上記と同様の手法によりPrPCへのHNE付加を調べたところ、PrPに一致したHNE付加ポリペプチドのシグナルが低レベルながら認められた。また、同細胞に脂質過酸化を誘発したところ、これを含む複数のシグナルの増強が認められた。これらについてFT-MS解析を行ったがPrPへの明瞭なHNE付加を同定するには至ってない。次年度には、試料量を増やす、あるいは直接HNEを作用させる等を行い、PrPCへのHNE付加の有無とPrPScの形成を検証する。
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