2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの自己制御機構に基づくケミカルゲノミクス的抗HIV剤の創製
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22659021
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
玉村 啓和 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (80217182)
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Keywords | インテグラーゼ阻害剤 / マトリックス蛋白 / CD4ミミック / アンタゴニスト / HIV / CXCR4 |
Research Abstract |
抗エイズ薬の創製研究は、従来、逆転写酵素やプロテアーゼなどの標的分子を設定して、それに作用する薬剤をデザインするというリバースケミカルゲノミクス的手法をとっていた。本研究では、これらに代わる方法として、HIV自身の蛋白質由来の部分ペプチドライブラリーから抗HIV活性を指標にスクリーニングするというフォワードケミカルゲノミクス的手法を用い、リード化合物の探索を目指す。元のHIV構成蛋白質には抗HIV活性がないので、本来の蛋白質では内に秘められた活性ペプチドを探索すること、HIV構成蛋白質を基にして自身の感染を阻害するという、フィードバック的な相互作用を利用することになり、ウイルス学的進化の解明にも関連する。また、リバースケミカルゲノミクス的手法による阻害剤の創製も行い、両方向からアプローチする。本年度(平成22年度)は1)HIVの全蛋白質由来の部分ペプチドライブラリーを、ハイ・スループット・スクリーニングが可能な抗HIV活性試験であるインテグラーゼ阻害活性試験で評価し、リード化合物を探索した。Vpr断片ペプチドからインテグラーゼ阻害剤を見出し、構造活性相関を展開した。2)Matrix断片に細胞膜透過性配列を付加した抗HIVペプチドを創出し、イメージングで細胞内導入を確認した。3)申請者の開発した低分子型CD4ミミック誘導体を創出し、顕著なHIV侵入阻害活性があり、CD4ミミックはHIV外皮蛋白gp120のコンフォメーション変化を誘起すること、また、この構造変化によりコレセプター結合領域を認識する中和抗体(抗V3 loop抗体)の結合能が上昇することを明らかにした。4)今までに強力なCXCR4アンタゴニストである14残基のペプチドT140とその低分子誘導体である環状5残基のペプチドFC131、および、それほど高活性ではないが、低分子非ペプチド性アンタゴニストを創出している。これらを基に、より医薬品としてのプロフィールの優れた化合物を開発した。Xylene骨格を有する全く新規なCXCR4アンタゴニストを見出すことができた。
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