2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜―膜タンパク質相互作用を利用した生物機能性分子の創製
Project/Area Number |
22659023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40226345)
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Keywords | アポトーシス / 生物機能性分子 / 阻害剤 / ボンクレキン酸 / 有機合成化学 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
アポトーシス阻害作用が報告されている天然有機化合物であるボンクレキン酸を基盤とした新規生物機能性分子の創製について検討を行った。まず、評価系の構築のためにボンクレキン酸の合成を検討した。著者らは既にボンクレキン酸の合成法を確立しているが、まだ十分量の合成に達していなかった。そこで、更なる条件の最適化を行いつつ、また我々が独自に開発したイノラートのオレフィン化反応も取り入れて合成を行った。最終段階での酸化反応の収率がまだ低いが、10ミリグラム(時価100万円相当)の合成を行った。このサンプルを指標にしてアポトーシス阻害作用の評価系を検討し、HeLa細胞にスタウロスポリンでアポトーシスを誘導する系を確立した。この段階でボンクレキン酸のEC50は80μMであることを明らかにした。また、細胞毒性試験を行ったところ、ほとんど毒性は観察されなかった。ボンクレキン酸の細胞作用に対する報告は散見されていたが、このような系統的な試験結果は報告例がない。次に、活性発現の必須構造因子の決定のために、部分構造の細胞試験を行った。その結果、1位と24位のジカルボン酸部位と脂溶性炭素鎖を有する部分構造において比較的強い細胞毒性が発現することが見出された。脂溶性炭素鎖の炭素長と細胞毒性に相関があり、脂溶性が高いほど毒性が高く、これは非特異的結合によるものと推測された。また、エステル化するとさらに毒性が強くなることも明らかとなり、特にメチルエステルの効果が高いことが分かった。一方、炭素鎖末端にカルボン酸を付与したトリカルボン酸とすると細胞毒性は消滅し、アポトーシス阻害効果が見出された。膜タンパク質と相互作用する構造単位として新たな知見である。
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Research Products
(15 results)