2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜-膜タンパク質相互作用を利用した生物機能性分子の創製
Project/Area Number |
22659023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40226345)
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Keywords | アポトーシス / 生物機能性分子 / 阻害剤 / ボンクレキン酸 / 有機合成化学 / 膜たんぱく質 / 構造活性相関 / 天然有機化合物 |
Research Abstract |
Bongkrekic acid (BKA)はミトコンドリアの膜たんぱく質であるANTを特異的に阻害してATP産生を抑制する天然有機化合物であるが近年アポトーシス阻害効果も報告されて、バイオツールとしての重要性が格段に高まっている。しかし入手困難なことから合成による大量供給や合成容易な類縁体の開発が急務となっている。本年度はBKA合成法の確立とBKAのアポトーシス阻害効果に関する必須構造因子の特定に向けた構造活性相関研究を行った。既に昨年度ま-でに我々によりBKAの合成ルートは確立されていたが、最終段階の酸化反応と脱保護、および精製に問題点があろた。今年度、後処理法の改善と順相カラム(クロロホルムーメタノール溶媒)を用いたHPLC精製たより以上の問題が解決し、数十ミリグラム単位での純粋なBKAの合成法を確立することができた。この方法を基盤として構造活性相関研究を進めた。特に、1位、22位、24位の3つのカルボン酸の機能に焦点を当てて誘導体合成とアポトーシス阻害活性を検討した。アッセイ系は昨年度と同様にHeLa細胞に対しスタウロスポリン100nMでアポトーシスを誘導する方法を用いた。その結果、1位と22位のカルボン酸は阻害活性に必須であり、24位はアルコールでも置換可能であることが明らかとなった。また、イソBKAへの異性化め原因となる23位のメチレンの水素のpkaを上げるために、1炭素伸長、したBKA誘導体も合成したが、強い細胞毒性が発現した。また、ミトコンドリア膜の特性を鑑み、リン脂質を末端に導入したBKA誘導体を合成しようとしたが、安定性に問題が生じたために、より単純な構造のリン酸エステルを導入した。その結果、まだ予試験の段階ではあるがアポトーシス阻害効果が観察された。膜透過性やミトコンドリア膜への親和性などの点で有効に作用したと考えられる。
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Research Products
(37 results)