2011 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲン様3重らせんペプチドの動態特性を利用した新規ドラッグキャリアの開発
Project/Area Number |
22659112
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小出 隆規 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70322253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (20278443)
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Keywords | ドラッグデリバリー / コラーゲン / ペプチド |
Research Abstract |
(1)コラーゲン様ペプチドが高い尿排泄性を示すための構造要件 体温でランダムコイル構造である(Pro-Pro-Gly)10および(Pro-Hyp-Gly)5をラットに経静脈投与した場合、未変化体は尿中から検出されなかった。一方、体温で3重らせん構造をとる(Pro-Hyp-Gly)10は、ほぼ定量的に尿中に未変化体として排泄されるが、この高い尿排泄性は、(Pro-Hyp-Gly)10中のひとつのProあるいはHyp残基をそれぞれAspおよびArg残基に置換したペプチドにおいても保持された。また、同様のペプチドのC末端をアミド化しても、その尿排泄性にはほとんど影響を及ぼさなかった。このことから、各鎖30-mer程度の3重らせんペプチドの尿排泄性は、軽微な正・負電荷の付与により大きく変化しないことが明らかとなった。また、ヒト血清中でのin vitro安定性の試験から、コラーゲン様3重らせん構造を持つペプチドがプロテアーゼによる消化に強く抵抗することが分かった(半減期>1日)。 (2)コラーゲン様ペプチドとのコンジュゲート化による低分子量モデル薬物の動態特性の改変 スピンプローブとして用いられるProxylをモデル薬物として、コラーゲン様3重らせんペプチドの薬物担体としての応用可能性について検討した。マウスに経静脈投与した低分子量のCarbamoyl-proxylの尿排泄率は10%以下であった。一方、コラーゲン様3重らせんペプチドとコンジュゲート化したProxylは、ほぼ定量的に尿中に排泄された。この効果はペプチドの3重らせん構造依存的であり、体温でランダムコイル構造であるペプチドとコンジュゲートした場合には、Proxylは高い尿排泄率を獲得しなかった。以上のことから、コラーゲン様3重らせんペプチドは、低分子量薬物の動態特性を変化させうる薬物担体として利用可能であると考察された。
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