2010 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジーと人間の加齢に関する比較研究-自律神経ならびに高次脳機能
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22659141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤澤 道子 京都大学, 野生動物研究センター, 助教 (00456782)
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Keywords | 老化 / チンバンジー / 生活習慣病 |
Research Abstract |
1. 生活習慣病の実態:全飼育頭数の約半数である27頭で麻酔下において健康診断をおこない、血圧測定、血液検査、体格測定をおこなった。検査項目は人間における生活習慣病の評価内容と同じであり、チンパンジーにおける生活習慣と動脈硬化との関連について評価するために必要な基礎となる項目である。また、死亡した個体について病理解剖をおこない、血管の状態、死因となる病理について肉眼的観察をおこなった。これらと同時に、麻酔薬の影響を排除するために無麻酔における血圧測定トレーニングと空腹時血糖・糖負荷後の血糖を測定するために採血トレーニングを継続中である。これまでに簡易血糖測定器で検査し得た5頭では、糖負荷による血糖値変動は正常であったが、75gブドウ糖を摂取させることが困難な個体が予想外に多い。 2. 自律神経機能:麻酔下で、まず臥位、次に端坐位で血圧を測定し、起立性の血圧変動の有無を検討した。また、心拍のゆらぎ変動を評価するため心電計と聴診器を胸に当てるトレーニングをおこなっている。ほぼすべての個体で聴診器は当てられるようになり、安静を保つトレーニングを継続している。 3. 時間感覚:夜間の睡眠状態をビデオ撮影により観察している。 4. 認知・行動機能:群れのメンバーを変化させるなどして生活環境に変動のある状態における高齢チンパンジーの社会行動を観察している。現在のところ認知機能の低下を示唆する行動は観察されていない。 また、コンピューター課題のトレーニングをおこなっている。 5. 人間の老化との比較 地域在住高齢者健診を継続しておこなっている。また、原始的な生活を送るニューギニア高地人の調査をおこなうため、調査地の選定、現地調査協力者との打合せをおこなった。
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[Journal Article] Community-based geriatric assessment and preventive intervention lowered medical expenses for the elderly.2010
Author(s)
Matsubayashi K, Wada T, Ishine M, Sakamoto R, Okumiya K, Ishikawa M, Yamanaka G, Yamamoto N, Otsuka K, Nishinaga M, Doi Y, Murakami S, Fujisawa M, Yano S
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Journal Title
Journal of the American Geriatric Society
Volume: 58
Pages: 791-793
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