2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンデムマスと培養細胞を用いる小児薬剤の安全性検証法の開発
Project/Area Number |
22659195
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根大学, 医学部, 教授 (60144044)
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Keywords | 脂肪酸代謝異常 / インフルエンザ脳症 / 急性脳症 / 薬剤安全性 / β酸化能 |
Research Abstract |
成人では目立った障害の起こらない薬剤でも小児には毒性を持つ薬剤あるいは細菌毒素等がある。急性脳症様の経過で発症するものがあるが、この機序を解明するために、脂肪酸代謝異常症の代謝障害を同定するために用いられるin vitro probe acylcarnitine (AC) assayがある。この方法を用いて種々の薬剤等の脂肪酸代謝に及ぼす影響を調べる実験系を検討し、以下の結果を得た。 1)培養条件の検討:培養液をブドウ糖フリー、遊離脂肪酸フリーとして、これに薬剤等の添加量を検討した。バルプロ酸、アスピリンともに0.5-1.0mMの濃度であれば、37℃でも41℃でも細胞は生存できることがわかった。培養時間は48-96時間で評価できるだけのアシルカルニチンが検出できることがわかった。 2)先天代謝異常の患者細胞を用いた実験系の検証:中鎖脂肪酸代謝異常(MCAD欠損症)と長鎖脂肪酸代謝異常(VLCAD欠損症)の細胞で検証した。 3)アスピリンの存在下では、長鎖脂肪酸代謝の脆弱な細胞(VLCAD欠損症)では、長鎖脂肪酸の代謝がより障害されることがわかった。 4)バルプロ酸存在下において、37℃ではβ酸化に障害を及ボスエビデンスは得られなかった。41℃では、中鎖脂肪酸代謝の脆弱な細胞(MCAD欠損症)では、中鎖脂肪酸代謝障害が増強され、長鎖脂肪酸の脆弱な細胞(VLCAD欠損症)では、長鎖脂肪酸代謝障害がより増強される傾向がみられた。 次年度は、他の薬剤の影響や培養液のカルニチン濃度を変えて検討を進める。
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