2010 Fiscal Year Annual Research Report
麻疹ウイルス抗体ディスプレイライブラリーを用いた癌標的治療法の開発
Project/Area Number |
22659227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 貴史 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (70432911)
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Keywords | 癌 / ウイルス / 抗体 / バイオテクノロジー / 生体機能利用 |
Research Abstract |
癌は日本における死亡原因でもっとも多い病気であり、特に現行の治療法に対して極めて高い抵抗性を示す難治性悪性腫瘍の新規治療法の確立が望まれている。これまで弱毒化麻疹ウイルスのリバースジェネティクス法により、一本鎖抗体(scFv)をウイルス表面蛋白上に提示し、かつ元来のウイルス親和性を排除することによって、scFvが持っている特異性と親和性を介して特定の標的腫瘍細胞にのみ感染させる技術を世界で初めて開発した。 そこで本研究では、このテクノロジーを応用し、ウイルスにscFvを提示させた革新的ディスプレイライブラリー、"ウイルス(Virus)+抗体ライブラリー(Antibody Library)=ビロボディライブラリー(Virobody Library)"を確立し、その技術を用いて新規抗体医薬の開発を目指した。複数ドナーの新鮮な末梢血リンパ球から合成したcDNAに由来するscFv抗体ソースを基に作製した麻疹抗体ディスプレイライブラリーを、ヒトA549肺癌、又はPancl膵臓癌細胞にMOI=0.01~1で感染させ、1時間のインキュベーション後、OPTI-MEM(Invitrogen社)で4回感染細胞を洗浄した。培養2~5日後、ウイルス感染細胞を集め、凍結融解することによってウイルスを回収するバイオパニング工程を繰り返した。最終的にクローン化したウイルスのゲノムRNAを回収し、RT-PCR法によりscFv遺伝子を増幅し、シークエンス解析を行うことによって腫瘍特異的抗体の同定を試みた。しかしながら、同定されてきたscFvは癌細胞に対する抗体として機能するものではなかった。この原因としては、麻疹ゲノムプラスミドライブラリーからscFvを提示する麻疹ウイルスを作出する際、従来のライゲーション反応によるプラスミドライブラリーの構築では、目的とするプラスミドの獲得効率が悪く、不安定であることが考えられた。そこでλファージの部位特異的組換え反応を利用したプラスミドライブラリーの構築法の開発を試みた。その結果、非常に効率よく安定してプラスミドライブラリーを獲得することが可能となった。
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[Journal Article] Enhanced Antitumor Effects of an Engineered Measles Virus Edmonston Strain Expressing the Wild-type N, P, L Genes on Human Renal Cell Carcinoma2010
Author(s)
Meng X, Nakamura T, Okazaki T, Inoue H, Takahashi A, Miyamoto S, Sakaguchi G, Eto M, Naito S, Takeda M, Yanagi Y, Tani K
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Journal Title
Molecular Therapy
Volume: 18
Pages: 544-551
Peer Reviewed
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