2011 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenetic修飾の包括的・統合的解析による新規癌幹細胞制御法の確立
Project/Area Number |
22659233
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宇都宮 徹 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30304801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 光生 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
杉本 光司 徳島大学, 病院, 医員 (20448327)
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Keywords | エピジェネティック修飾 / がん幹細胞 / 幹細胞マーカー / ヒストン脱アセチル化 / 抗癌剤抵抗性 / 分化誘導 / DNAマイクロアレイ解析 / ネットワーク解析 |
Research Abstract |
〔研究の目的〕癌幹細胞研究は癌の治療抵抗性を克服し最終的には癌の根治を目指すことを目的としている。我々は遺伝子発現を制御しているエピジとネティック修飾に着目し、癌幹細胞の抗癌剤抵抗性の機序解明と新規治療法の開発をめざす。 〔研究実績の概要〕 1.抗癌剤とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の併用効果:胆管癌細胞株(HuCCT1)を用いて抗癌剤(Gemcitabine:GEM)とHDAC阻害剤(valproic acid : VPA)の併用効果をMTT assayにて評価した。GEM:5nMとVPA:0.5mMは各々単独では効果を認めないが併用により有意な細胞増殖抑制効果を認めた。同様に、HuCCT1と膵癌細胞株(SUIT-2)を用いて抗癌剤(5-FU)とVPAの併用効果を評価した結果、5-FU:1.0μMとVPA:0.5mMは単独では効果を認めないが併用により有意な細胞増殖抑制効果を認めた。したがって抗癌剤にエピジェネティック修飾を目的としたVPAを併用することで抗癌剤感受性が増強することが考えられた。 2.HDAC阻害剤による癌幹細胞の分化誘導:(1)Cancer sphereの作製:昨年の大腸癌細胞株に加え、ヒト肝癌細胞株(HepG2,PLCPRF-5)を用いて癌幹細胞の特徴を有するとされるCancer sphereを作製した。Cancer sphereは、Oct4, Nanog, SOX2, CXCR4, SDF1などのstemness geneやCD44,EpCAMなどの癌幹細胞マーカーを高発現していることを確認した。さらに、Cancer sphereにおけるTwist,p16,Claudin,4などのEpithelial mesenchymal transition(EMT)マーカーやSirt1,Sirt3などのaging geneなどの発現変化も確認した。(2)VPAのstemmess gene発現への影響:肝癌細胞株において、Oct4,Nanog,SOX2,CXCR4遺伝子発現をRT-PCR法にて評価した結果、VPA投与により有意に発現低下を認め癌幹細胞としての性質が減弱することを確認した。 3.DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析による機序解明:HuCCT1を用いて、GEM単独とVPAとGEMの併用群での遺伝子発現パターンを比較したところ、43個の関連遺伝子を同定できた。さらにIngenuity pathway analysisの結果、併用による効果増強にHLA-DRAの発現増強やLGALS9の発現低下が関与している可能性が確認できた。 以上のごとく本年度は、抗癌剤とヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を併用することで癌幹細胞の分化誘導が可能となり、抗癌剤抵抗性が解除できる可能性が示された。さらに、DNAマイクロアレイ解析にてその分子機序を同定できた。
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Research Products
(7 results)