2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659284
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
眞下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10110785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中江 文 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (60379170)
柴田 政彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (50216016)
萩平 哲 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90243229)
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Keywords | 統合失調症 / 疼痛感受性 / 注意課題 / 誘発電位 |
Research Abstract |
統合失調症は、体の危険信号としての痛みすら十分に感じず非常に重篤な状況に陥るという臨床報告が見られるが、そのメカニズムは明らかになっていない。統合失調症の患者は痛みに無関心であるケースが見られ、痛みと注意の関係という点で注目した。本研究では昨年に引き続き、統合失調症患者に実験的痛みを与えその痛覚閾値、痛覚耐性閾値を測定し、その痛みの表出を解析した。その結果、統合失調症患者では熱刺激に対する痛覚閾値、痛覚耐性閾値の有意な低下を認め、その痛みの性質の回答で「熱く焼けるような痛み」との回答が健常者に比し有意に低かった。一方、電気刺激に対する感受性はむしろ敏感であるという結果となったことと併せて考えると、これらは、統合失調症患者の痛みという感覚を獲得する過程での健常者との違いが原因の一つとして考えられる。これらは、投薬量とは関連がなく、抗精神病薬による麻酔様作用による影響は否定的であるという結論に至った。症状との関係においては、興奮との相関を認めた。 本年度は新たに痛みと注意の実験を行った。健常者実験において、痛み刺激の度合いについて、痛みに注意を向けた時と向けないときで痛みの主観的な強さ(VAS:Visual Analogue Scale)が変化することが明らかになり、来年8月の国際疹痛学会で発表予定である。さらに、注意課題を加えながら痛み刺激を与えることにより、誘発電位が変化するかどうかについての研究の前試験的な結果を得ることができた。。同じ侵害刺激に対する感受性が注意課題の施行により変化すること、さらに、その変化を脳活動としてとらえることができる可能性が示唆された。
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